陰柔居尊、しかも九四の上にいて楽しみに溺れている。貞疾(常病)があるようなもので健全とは言い得ないが、まあいつも死なずに済む程の状態。まだ亡びない。陽剛中正誠心を尽くし攣如すなわち人と手を執りあって事に当たる。富も独占しようとせずその隣人(六四)と分け合うほどの心意気である。自分だけ富もうと考えない。陽剛中正、険難のまっただ中に在るので大いに蹇みはするが、六二の朋が来て助けてもらうことができる。中正の節操を保っているからである。陽剛中正の君主、天下の人々を萃めて、君位を保有する象であるから、もとより咎はない。たとえ自分の誠意に疑いをかけて信服しない人がいても、大いに長く貞正の徳をとりたもつように努力すれば、信服されないという悔いも消えるだろう。信服しない人があるかぎりはその志がまだ光大とはいえないのである。剛中居尊、鴻が安泰で高い丘陵に進み得た象。ただ婦たるべき正応の六二が三・四にはばまれて、なかなか親しみあう機会を得られず、三年もの間、子を孕むこともできないままでいる。しかしながら結局において邪は正に勝つことはできないのであるから、最後には望みを達し得られて吉である。願うところを得られるということである。