陽剛居正無応、陽剛正直の徳を持して卑下の地位にあり、みだりに偏私することはなく人と和して悦ぶ象で吉である。行うことが決して人から疑われないからである。陰柔居初、最下の地位だから人の身体で言えば趾に相当する。趾は本来ならまっさきに動くべきものなのに、止まるべくして止まる故に咎はない。ただ陰柔卑弱でその態度を永く保ち得ないおそれもあるから、永く貞正をとりたもつことが肝心である。まだ正しさを失っていないことである。家道の初めに当り、剛毅果断の態度をもって我が家の人々の過失に陥る事を防ぐように心がければ家道が乱されるという悔いもおのずから消え去る。家人の志がまだ悪に変ぜぬうちに防止する。陰柔不正、困窮すること甚しく、たとえて言えば木の切り株に坐って腎が痛みだし落ち着いておれないようなものであり、奥深い谷底にはいりこんで三年もの間人間の顔を見ることもできないようなありさまである。