天下の人が皆おのれを損してこの君を養おうとつとめる。貝貨20枚分つまり価値の高い亀甲で占っても外れるはずがないほどに元吉の象である。人のみならず天からも助けてくれる。独りおのれを守って妄動せず、外からの刺激に対しても無感動なので背中の肉に例える。背中の肉は人体の中で最も不動無感の箇所。このような態度であれば人を感じさせることができぬまでも人の感じにひかれないから悔いはない。志が瑣末なことである。柔順居中、敦厚篤実な態度で善に立ち返るから、悔いがない。中庸の徳によって自分を完成する。陽剛中正居尊、孚誠に満ち溢れて天下の人心を攣如(牽きつなげるさま)としてつなぎとめる象で、もとより咎はない。その位が正に当っているからである。柔順居中、君位にありながら自分に下民を養うだけの実力が不足していることを知り上九の陽剛にたよってその養いを求めておのれの義務を全うしようと心がける。君位にありながら人に養いを求めることは常道にもとっているが、貞正さを失う事がなければ吉である。さりとて大川を渉る大事を決行するにはよろしくない。従順の態度で賢人に従う。