柔順居中、敦厚篤実な態度で善に立ち返るから、悔いがない。中庸の徳によって自分を完成する。陽剛中正、君主の高位に在ってその徳力で在下の小人(初六)をおおらかに包容する。たとえて言えば杞(杞柳・かわやなぎ)の枝で編んだ籠の中に美味しくて潰れやすい瓜をそっとしまい込むようなもの。また剛中の徳を持ちながらも、その徳の美しさ(章)を包んで晦まし、かくして小人を包容することにつとめれば、やがて天の時が至って、彼自らが転落して、剛正の君主に包容せられる。これが陰柔の小人を遇するゆえんである。中正の徳を備えているからである。志において天命を忘れないで天の時を待って小人を包容するのである。黄色い裳(袴)を着た臣下。 中庸柔順の徳が自ずと外にまで現れた立派な人物。大いに吉。下民に対する恩沢も滞りがち。小さいことなら貞生を取り保てば吉だが大きなことに頑固であっては却って凶をまぬがれない。険難の中にある君主が補佐の剛臣を得ず恩沢も為にあまねからぬので少貞で徐々に整理して行くようにすれば吉であるが、急に大変革を起こせば却って転覆の厄を招くことになる。柔順居中、剥をやめて衆陰を率い随順してその籠を受ける。例えれば魚の頭を刺し貫くようにして宮女を率い王の寵愛を受ける貞淑温厚な正后のごときものであるから何事につけてもよろしからぬはずはない。遂に何の尤もないことである。