陽剛居正、あたり真っ暗、日中だというのに沬(小さな星屑)まで見えるような状態でありせっかく腕を振るおうにも右の肱が折れた時のように十分の力が発揮できない。しかし自分にやましいところがあるわけではないから咎はない。大きなことをするにはよくない。しょせんそれを用いることはできぬということである。陰柔不中正ながらその身にかかずらう私情を散らして、正応たる上九のために尽くそうという心がけなので、悔はない。志が上九に尽くそうという点にあることである。九四と共に卦の中央屋根に例えれば中心の棟であるが過剰不中剛強に過中和の徳を失してその任に堪えられぬから棟が撓み曲がる象。凶である。剛強に過ぎると旗から輔けてやりようがないからである。陰柔不中正、震雷に遭いおそれおののいて蘇蘇(茫然自失)たるありさまながら、よくおそれ慎んで初九と共に協力して、前に進むすべを考えれば眚にかからずに済む。その位が不当。陽剛居正、正応の上六は陰柔無力で頼りにならないから、往けばかえって蹇む事になるがもし往かずにとどまれば、在下の二陰もこれに帰服して安泰である。喜び迎える。