柔順中正、この卦の卦主にあたる。故に黄離(中正の位の事)であり大いに吉である。中道を得ているからである。坎中に陥って険難を免れないが剛中の徳を備えているから求めれば少しは得る所がある。まだ険中から抜け出ることは出来ないからである。大過陽剛の勢いが過ぎる初めであるが、上に正応の陰爻がないので已むを得ず在下の初六に比しむ象。例えていえば枯れかけた楊柳に梯が生じ盛りを過ぎた老人が年若い妻を娶ったようなもので常を過ぎた状態ではあるがなお陰陽の和合によって生育の功を保ち得るからよろしくないことはない。分を過ぎて与しあう。陽剛居中、しかも六五の柔中に応ずるからあたかも大きい車に荷物を満載するのと同様、君主から大任を附託されても立派にこれを果たし得る。進んで事に処しても咎はない。中にいくら積み込んでも駄目になる事はないという事。陽剛居中、小人を決去するときに当って陽剛の徳を持ちながら柔中の位に居るので滅多な行動はとらない。敵の反撃を惕れて仲間に警戒の叫びをあげ、慎重を期する。このようであれば暮夜つまり夕暮れ時になって戒敵兵の来襲があってもあえて恤うるには当らない。