陽剛居正、上下の陰に挟まれてその賁飾をうけキラキラツヤツヤとして美しい、しかしその飾りに甘んじ溺れることなくいつまでも貞正を保つことを心がければ吉である。陰柔不中正、小人で困窮すること甚しい象。進もうとすれば前には九四の剛がどっしり石のように立ち塞がっていてこれに困しまざるを得ないし、下を見れば九二の剛に乗っていてまるで蒺蔾いばらの上に腰を据えたようなものでいたたまれない。その上正応の陽がないから、我が家に入ってもわが妻は逃れ去ってその姿を見ることはできない。凶である。不安であるからである。妻が家にいないのは縁起でもないことである。陰柔不正、不徳の小人が荷物を背負いながら分不相応な貴人の車に乗り不当の栄誉をむさぼろうとして、終わりに強盗から襲われるような事態を招く。いかに貞正を守るつもりでいても吝である。しょせん恥ずべき行為。我自らの至らぬせいで強盗に襲われる事態を招くのだからまた誰を咎めることができようか。陰柔不中正、頤養の正道にもとって妄りに養いを求める象。このようであればたとえ求める相手が正応の上九であり、その限りにおいては貞正であっても凶である。十年たっても行動を起こしてはならぬ。よろしい所がない。いるべき道が大いに間違っているからである。謙遜して自己の抑制に勤め、文章才能の美を含み隠して貞生を取り保つべきであり、時に王命を奉じて事に従う場合も、あえて成功にいる事を成さず、終わりを全うすることに心がくべきである。