陰柔居極、才徳も備わらぬのに気ぐらいばかり高くて人と親しもうとせず、かえって昏冥に陥る象。たとえて言えばその屋根を大きくしたうえ家中に蔀をとりつけて、室内を暗くし、戸口からこっそり中をのぞいてみても闃(ひっそり)として人のけはいがなく、3年たっても外に出て人と顔をあわせようとしないようなもので、凶である。自分一人で思い上がる。自分から閉じこもって隠れる事である。陽剛居極、渙散の極ですでに険難からは遠ざかっているから、血の出るような傷害は解消し、危険から遠く離れて悠々たる状態で、咎はない。害から遠ざかっている。陰柔居極、その重任に堪えぬこと、例えていえば身の危険も考えず川をかちわたり頭のてっぺんまで水に浸かってしまうようなもので凶であるがその志の殊勝さから言えば咎はない。志を咎めることはできない。陽剛居極、剛毅聡明の徳ある人である。王者たるものがこの剛毅聡明の徳をもって征伐を行うのであれば嘉い手柄を立てて敵の首魁を誅毅することもできよう。しかも残虐の行いを避け敵のおもだった者だけを捕らえ醜類すなわち雑兵附従の輩にまで処置を及ぼさぬだけの寛大さがあれば咎はない。これによって邦国を正さんがためである。