陽剛中正居尊、心から安んじて節度を守るから吉であり、進んで遠近内外に及ぼして事に当れば、人から尊敬を受け得られる。尊位に居て中徳をそなえているからである。柔順居中、旅に出て、柔順中庸の徳を失わずこれに処するから、雉を射て、矢の一本ぐらいは損をしても、やがてはこれを手に入れることができ、最後に誉命(名誉と爵命)をおのれのものにするようになる。そのりっぱさが上の人の耳にも達することである。柔順居中、君位にありながら自分に下民を養うだけの実力が不足していることを知り上九の陽剛にたよってその養いを求めておのれの義務を全うしようと心がける。君位にありながら人に養いを求めることは常道にもとっているが、貞正さを失う事がなければ吉である。さりとて大川を渉る大事を決行するにはよろしくない。従順の態度で賢人に従う。柔順居中、九二に正応あり。聡明睿智の態度で人に臨む象。大君たる者のよろしく取るべき態度であって吉である。中道を実践するという意味である。柔順居中、敦厚篤実な態度で善に立ち返るから、悔いがない。中庸の徳によって自分を完成する。