陰柔居正、初九によっておのれの陰柔の疾病を損することを得る。これを損することが速やかであるようにすれば喜ぶべき結果が得られて咎はない。やはり喜ぶべきこと。三陽の中央に在り、人体に例えればその中央に位置する心臓に当る。心の働きは思う事、思うことが正しければ、万事の大本となり、吉であって悔いも自然になくなるけれど、私意妄想をはたらかせ憧憧(心定まらない様)として思いまどうようでは広く心を感じさせることはできずせいぜい限られた仲間の者だけがその人の思いに従うだけである。まだ不正な私的感情に害されないからである。まだその感応させ得る範囲が光大でないことである。柔順居正、五陰の中央に位してしかもただ一人初九の剛に応ずるから悪い仲間と悪に陥りかけながら途中から一人だけ善に立ち返る。このようにして道に従う。陽剛不正、無応孤独、睽かれてひとりぼっちであるがやがては同気同類の元夫(善良な丈夫)たる初九と相い遇鵜を得、互いに孚とし信じあうようになれるから厲いとはいえ咎を受けることはない。柔順居正、舟に乗って水濡れの時に備えて衣袽(ぼろ切れ)を用意するように、いざという場合を考えて終日怠りなく警戒することが必要である。今にも事が起りはせぬかと疑い懼れることがあるからである。