ビヨンド・ザ・ワールド~光と影~14
【回顧~タシターン遺跡】
今から、
数百年前......
「光の教団」が設立される前....

はじまりの地と呼ばれている、
「タシターン」

タシターンの遺跡に、

トーレスはいた。
タシターンの遺跡への立ち入りは、
古くからタブー視されてきた。
それまで、
盗賊などが財宝目当てで
浸入した事があったようだが、
無事に戻った者は、いなかった....
地元では、
恐ろしい魔物が住み着いている、
や、
死の呪いがかかる、
と、いった伝説が語り継がれていた。
すでに「賢人」と呼ばれていた、
トーレスは、
「はじまりの書」に導かれ、
この遺跡にやって来た。
「はじまりの書」によれば、
神か住む「天界」
魔が住む「魔界」
そして、
この現世界、
この、三つの世界が、
この地で交わっていると
記されていた。

遺跡の中は、
空気が重く、
薄暗かった。
が、
目が慣れると
苦にはならなかった。
この遺跡は、
遥か太古から、
存在するのだろうか?
いつ、
誰が、
なんの目的のために、
建造したのだろうか?
トーレスは、
そんなことを考えながら、
ただ、
遺跡の中を
歩き続けた。
どれくらい、
歩き続けただろうか、
遺跡は、
考えていた以上に、
広かった。
そして、
疲労が限界に達した時、
トーレスは、
それらしきモノに
突き当たった。

これが、
ゲートなのか....?
トーレスは、
恐る恐る近づいた....。
すると、
頭に直接、
語りかける者がいた。
「よくここまで、たどり着いたな、
賢人よ。」
そして、
次の瞬間、
トーレスの身体は
まばゆい光にくるまれ、
体が浮く感覚に包まれた。
【天界にて】
浮遊感が無くなり、
再び、
トーレスが目を開けると、

トーレスの目の前に、
その人物は、立っていた。

神
「よくぞ、天界に参った、トーレスよ。」
トーレスの思考は、
止まっていた。
そして、
目の前にいる、
神らしき人物の威圧感で、
身体中の感覚はマヒし、
息苦しくもあった。
神
「お前は、
私の思うように動き、
ここまで、たどり着いた。
褒美として、
お前の望むものを与えよう。」
トーレスが、
望んでいたもの.....
それは、
「知識」であった。
トーレスは、
言葉を発することさえ出来なかったが、
神に心の中を
読み取られているようだった。
トーレスは、
不思議と恐怖を覚えなかった。
神は、
静かにトーレスの頭に手をかざした。
すると、
トーレスの頭の中に、
膨大な情報が雪崩れ込んできたのだった。
トーレスは、
思わず膝をついた。
眼球が飛び出しそうになった。
内臓が飛び出しそうな、
凄まじい嘔吐をした。
その様子を見ていた神は、
「すまぬな。
お前の容量が余にはわからぬ。
許せ。」
神は、
静かに言葉を続けた。
「お前には、
もうひとつ、
力を与えよう。
これからのお前には、
必要となるだろう。」
神は、
右手の手のひらを
胸の辺りで天に向けて開いた。
いつの間にか、
手のひらには、

小瓶がのっていた。
神
「これは、
『神の雫』と呼ばれている。
簡単に言うと、
神の力を授ける雫....。
お前は、
これからこの力を使い、
我らのため、
天界の為、
動いてもらう。
それが、
お前の望む、道へと続く。」
トーレスの頭は、
情報処理に追い付いていなかった。
脳の躍動が感じられるほどだった。
神は、
そんなトーレスの様子をよそに、
雫をトーレスに埋め込んだ。
その瞬間、
トーレスは、覚醒した。
すべての脳細胞が活性したのだ。
神は、
そんなトーレスの様子に
微笑んだ。
神
「さすがは、賢人....。
適応力がある。
では、
お前の使命がわかるな?」
トーレス
「ええ、はっきりと.....。」
トーレスが初めて言葉を発した。
そのトーレス表情は、
すべてを悟ったような感じであった。
そんなトーレスの様子を
神は満足そうに見ていた。
神
「期待しているぞ、トーレス。」
神は、
そう言って、
トーレスに手をかざした。
トーレスは、目を閉じた。
すべては平和のために....
トーレスは、
浮遊感を感じながら、
心の中で呟いた....
つづく♪