ビヨンド・ザ・ワールド~光と影~13
【新月の開戦~不死の軍団進軍】
「開門!」

ヴィーデの号令とともに、
門が開かれていく....
そして、
獣の息づかいに似た咆哮と、
擦れ合う鎧の金属音が、
暗闇に響き渡る...

暗闇だった荒野に、
松明の灯りが蠢いていた。

「壮観な眺めですな。」
アベラールは、
ヴィーデらと塔の上から、
出陣の様子を眺めていた。

「三万の不死の軍団....
私たちの出番は、無さそうだな。
フッフッフッ、
ダークナイト、
そして、
ヤツもいることだしな。」

「ええ、
持ち駒は多い方が良いですからね....」
城門からは、
終わりなき兵士の波が、
流れ出ていた。
【異界~現世界の秘密】

「預言の石板は、
私が作った物です。」
トォーレスが発した言葉に、
トルは言葉を失った。

まさか、トォーレスの手によって、
作られたとは....
しかし....
トォーレスは、
しばらく沈黙した。
頭の中で、
言葉を探しているようである。
トォーレス
「正しくは、作らされた....
と言った方が良いのかも知れません。」
トーレスは、
モノクロの異界の湖に目をやった。
トーレス
「ワタシが彼に初めて会ったのは、
古文書の研究から、
とある遺跡を訪れた時でした...
最古の文献と言われています、
『はじまりの書』....
そこには、
『ゲート』の存在が
記されていました。
その後、『創世記の書』として、
世の中に出ますが.....」
トル
「『創世記の書』は、
わしも読んでたニャ。
たしか、
はじまりの地と呼ばれている
タシターン地方の伝記と
この異界などの事が
主な内容だったと....。」
トーレス
「そうです。
しかし、
トルさんが読まれた書は、
ワタシが書き換えた書です。
残念ながら....。
『ゲート』の存在は、
大衆には知られたくありませんでした。
『天界』『魔界』『現世界』を
つなぐ『ゲート』は、
あまりにも危険な存在...。」
トーレスの横で、
ソルフェージユは、
静かに佇んでいるだけであった。
トーレス
「ワタシは、
タシターンの遺跡に行き、
『ゲート』の確認に向かいました。
そして、
そこで、『神』に会い、
ある『力』を頂きました。」
トル
「ば、ばかニャ!
神じゃと!」
トルは、
思わず
声を荒わらげた。
そのとき、
静かな、
モノクロの異界の地に、
一陣の風が吹き抜けた錯覚を
トルは感じていた....
つづく♪