ビヨンド・ザ・ワールド~光と影~12
【決戦前夜】
(光の教団とある施設屋上)


カイロス
「いよいよですな、閣下。」
夜空を見上げ、
カイロスが言った。

ヴァラックは、
何も言わず、笑みを浮かべた。

アベラール
「ローランのヤツも
次の新月が最後でしょうね。
生きているのが、
不思議なくらいです。」

ヴィーデ
「しぶといやつ....。
しかし、
奴を媒体とした兵士は、
ハイブリットとして、
その能力はマスタークラスに...」
ヴァラック
「フッ、
奴には褒美を取らそう...、
死という名の褒美をな。」
ヴァラックは、
そう言って、
高らかに声をあげ笑った。
そして、
ヴァラックは、
ヴィーデ達の方を向き、
「では、
お前達は軍団を率いて、
連合軍の殲滅を。
私は、
かの地で、
最後の仕上げを....」
と言った。
ヴィーデ
「仰せの通りに。」
ヴィーデ達は、
深々と頭を下げた。
夜空に浮かぶ、
月の光が一段と弱々しくなり、
闇夜が深まっていく....
【異界~すべてを知る者】


トル
「お前は誰ニャ?」
トルは、
背後に立つ、

に、言った。
すると、
「この御方は、
『光の教団』創始者のトーレス様です。」
背後から
女性の声がした。

振り返ると、
ソルフェージュが立っていた。
トル
「トーレス?....。
すべてを知る者....。」
光の教団創設者...
初代教皇...
そして、
生前は、
「すべてを知る者」
と、呼ばれていた..
元来、
学者肌であったトーレスは、
その卓越した知識を広める為、
「学校」として、
「光の教団」を立ち上げた...
しかし、
時代と共に、
教団の方向性は曲げられた...
トーレス
「初めまして。
あなた方の事は、
存じております。
そして、
今回の騒動の事も....。」
そう言った、
トーレスの顔色が曇った。
ソルフェージュ
「トーレス様が、
どうしても、
トル様にお会いしたいと...。」
ソルフェージュは、
そう言って、
トーレスに歩み寄った。
トル
「で、
そのトーレス様が
何用ニャ?」
トルは、
ぶっきらぼうに言った。
トーレスは、
そんなトルの心の内を
感じていた。
トーレス
「あなたのお怒りもよく存じておりますが、
今は、事を急ぎます....。」
トーレスは一息つき、
続けた。
そして、
その口からは
トルさえ
知り得なかった
数々の事実が語られていく...
トーレス
「現世界....。
まずは、
現世界の秘密を語らなければ、
なりません...。
トルさん、
あなたも賢者と呼ばれるほどの知識人..。
現世界の矛盾を感じた事は、
ありませんか?」
トルは、
静かに受け答えた。
トル
「現世界の矛盾...?
それは、
『預言の石板』の事ニャ?」
それを聞き、
トーレスの無表情な顔に
笑みが浮かんだように見えた。
トーレス
「流石です...
ならば、
私の知っている事を
すべて話しましょうか...」
近くにいた、
ソルフェージュは、
異界の空気が震えたように感じた...
「『預言の石板』....
あれを作ったのは、
私です...」
それを聞き、
トルは、
驚愕した。
【ギルド・シャドームーン屋外】

マスターゼロも、
月を見上げていた。

ヴァラックの言う、
「石板の地」は、
結局、わからないままだった。
しかし、
ゼロには、
不思議と焦りはなかった。
とりあえずは、
三万の軍団を相手にしなければ
ならない....
エルの計らいもあり、
ゼロ達は、
「遊撃隊」という、
自由な動きが取れるように
配置されていた。
戦闘部隊の総隊長は、
エルで指揮を執る。
「まぁ、雷帝がならなくて、
良かった(笑)」
ゼロは、
独り言を言い、
空を見上げた....
明日は、
新月....
月に抱くは、畏怖か憧憬か.....
ゼロは、
静かに呟いた...
つづく♪