耳の向こうに見えるもの
耳の穴は2つ、とは限らない。うちの『あいかた』の耳には、いくつもの穴が開いている。
「穴だらけの耳」だ。
そしていくつも開いたその穴には、
「ぴあす」という名の、
銀色の装飾品が突き刺さっている。
自称『へたれ』な彼女を、強く見せ、
自分自身を守ってくれる防具なのだそうだ。
別にいくつも穴が開いているからって、
地獄耳になるわけでもないらしい。
誰かの口から発せられた言葉が、
彼女の耳に入ろうとしたとき、
どの穴に入ったらいいのか迷ったりしないのだろうか。
「ぴあす」で塞いでいるから、大丈夫なのだろうか。
一番大きな「ぴあす」は自分では外すことができないらしい。
まるで、何かの枷であるかのように。
でも、仮に外せたとしたら、
耳の向こう側が覗けるくらい、
大きな穴が開いているそうな。
その穴の向こうに広がる景色は、
いつもこの目で見ている景色とは、
違う何かを映しだすのだろうか。
なんてね。
とりあえず、開けすぎだろ、と言いたいだけです。
僕自身は、ピアスが流行りだした当初、
ピストル型のピアッサーで穴を開けた兄が、
ピアッサーからピアスを外せなくなり、
外すのを手伝わされた際、
兄がものすごく痛がった記憶があるので、
全く開けようと思ったことはありません。
注射器もダメな『あいかた』が、
耳にこんなに穴を開けているのが、不思議でなりません。
人間は、複雑な生き物ですね。