伊右衛門の世界
以前面接で、
「幅広い意味で『企画』を捉えたときに、これは成功した『企画』だな、と
思えるものを10個挙げてください」
と聞かれた。
そこで僕が真っ先に挙げたのが、「伊右衛門」だった。
個人的に、この「伊右衛門」が大好きなのです。
まぁ、味などもあるけれど、TVCMに代表される一連のプロモーションがすごく好きです。
クリエイティブ・ディレクターを務めたのが、「HAKUHODO DESIGN」代表の永井一史氏。
すごく尊敬するディレクターの一人です。
なんでも、商品開発時からプロジェクトメンバーの中核の一人として、
活動していたらしい。
僕がこのプロモーションを好きな理由は、「世界観」が確立されていると思うから。
これまでお茶というと、成分とか、何たら茶葉とか、
言ってみればスペックを売りにする広告手法が主だったと思う。
でも、「伊右衛門」は違うように自分には感じられた。
久石譲氏のピアノから始まるTVCMでは、「お茶」本体のことはほとんど語られず、
「伊右衛門」というキャラクターを通して、独自の世界を築いているように感じた。
その時代設定や世界観が、「京都 福寿園のお茶」という部分の説得力を強め、
さらに竹筒をイメージしてデザインされたペットボトルが、
CMなどのプロモーションの世界と、リアルの世界をつなげていく。
そして、もちろん味。
老舗の名を冠するに値する味を実現して初めて、
これまでのプロモーションと商品とが一本の軸で結ばれることになる。
まさに「伊右衛門」というブランドを作り上げたプロモーション・商品開発だったと思う。
並大抵の努力じゃここまでは出来ないだろう。
まさに、脱帽という思いだ。
結果、「伊右衛門」は競争激しいお茶の世界で、
後発商品でありながら、大きな成功をおさめた。
広義での「デザイン」、「コミュニケーション」の力を、改めて思い知った気がした。
「iPod」にも同じことが言えると思う。
確かに、技術的に優れた点があったことも事実だけど、
iPodが発売されたときには、既にMP3プレーヤー自体は市場に出回っていた。
それでもあそこまでシェアを獲得し、市場にインパクトを与えたのは、
「デザイン(狭義でのプロダクトデザインと、広義でのコミュニケーションデザインの双方において)」の力が大きかったと思う。
少し穿った言い方になってしまうかもしれないけど、消費者に対して、
「iPodを使っている自分の姿」への憧れを想起したのではないかと思う。
僕はあまりiPodを使わないし、あまり好きくないという人がいることも知っているけど、
大きな成功を収めたことは事実だ。
「伊右衛門」にしろ、iPodにしろ、どちらも共通して言えるのは、
消費者が期待し、その期待に応え、それを手にした人たちに「幸せ」を与えたことに
あるのではないかと思う。
僕もいつかそんなふうに、誰かを幸せにできる「企画」に携わってみたい。
そう強く願っています。
今日はちょっと真面目な話をしてみました。