今日の仕事帰りの話です。
池袋駅のコンコースをふらふらしていたら、東京モチットチョコクリームの店の前を通りかかった。
なにやら「めざましTV」で紹介された旨のPOPがショーケースの上に堂々と鎮座していた。
(ということは、大塚さんも食べたのか・・・)と思い、商品を凝視。
こげ茶色のもっちりしてそうな上下の生地の間にチョコクリームが挟まっている小ぶりのどら焼きのような商品だった。
食べてみようと思って順番を待つが、小柄な80歳くらいのおじいちゃんが一人、
店員さんとなにやら話していてそれがなかなか終わらない。
終わらないどころか、おじいちゃんは横浜から出てきたらしいのだが、
電車の乗り方がよくわかっておらず、店員さんにいろいろ教えてもらっていた。
が、おじいちゃん、全然わかってない。
店員「だから、ここの横の改札入って、埼京線に乗ってね!埼玉の方にいっちゃだめだよ!」
じい「あー、なにぃ?どこだってぇ?ええっ?なんだ、わーっかんないよ、わーっかんないよっ」
EK「wwwwwwwwwww」
そんな会話を一分聞いて、今日はあきらめようと思って、私の方が先に店の5メートル先にある改札に向かった。
でも、おじいちゃんがきになって、振り返ったら、店員さんが店から出てきておじいちゃんにあーだこーだ言っている。
それでもおじいちゃん、要領を得ず。人も改札も多くてなにがなんだかわからなくなっているようだった。
仕方なく店員さんとおじいちゃんに向かって、私が手招きをした。こっちですよ、と。
それに気付いた店員さんは「あの女のひとについていけば教えてくれるから!」とおじいちゃんに伝えてくれたんだけど、
男と女しかいない人類。たとえ5メートル前で大きなジェスチャーで手招きしようとも、
店員が言う「女のひと」がいったいどれだかわからないおじいちゃん。
それでもなんとか分かってくれて一緒に改札に入ろうとした。
私が先に改札をくぐるが、続いたおじいちゃんはだめだった。
おじいちゃんの切符を改札越しに見せてもらったら、それはJRではなく東武鉄道の切符。
券売機もよくわからない状態らしかった。そりゃそーだよな。乱立してるもの。
おじいちゃんは私がもう切符を通してしまったものだと思い、「もうこの子には頼れない・・・」というどん底の顔をして
まだ会話の途中だったのに、すごすごと背を向けてしまいました。
私はまた改札を出て、おじいちゃんを追いかけた。
EK「旦那さん、その切符じゃだめだから、新しい切符を買いましょう。横浜ならあっちの券売機ですよ」
じい「なんだぁ、あんたボランティアか」
EK「あははは(こんなボランティアいねーよw)、どこまで帰るの?渋谷って言ってたけど、横浜じゃないの?」
じい「横浜だぁ、横浜にかえりてえんだ、あんたほんとにわかんのかい」
EK「横浜、620円ですよ。もうボタン押したから、お金入れましょう」
じい「あんたボランティアか、あといくらだー」
EK「あと20円だよ、うん、それでいいよ、大丈夫だよ」
そんなこんなで切符を買って、二番線まで案内しました。
おじいちゃんは「この電車に乗ればそのまま横浜につくんかね!?つくんかね!?」と頻りに心配してました。
そのたびに「大丈夫だよ、つきますよ、二番線ですよ、二番線ですよ」とか言って、
そのころにはおじいちゃんも私が単なる通りすがりの女だということに気付いたらしく、
二番線に上がる階段の手前で「悪かったなぁ、コーヒーでもおごるからよぅ」と言ってくれました。
会話の途中で今日のいきさつを軽く聞いたら、以下。
じい「俺はこんな都会なんか来たくなかったんだ」
EK「うん」
じい「でもよぅ、今日は東上線のって新年会でなきゃなんなくて・・・」
EK「そうでしたか、それは大変でしたねぇ。お付き合いも大切ですものねー」
そんな流れで二番線の階段に差しかかった辺りでは、もうすでに私は
「見知らぬボランティア」から「俺の娘みたいだー。声までそっくりだ!」という最早最上級の座を得ていた・・・(笑
御馳走してくれると言ってくれたコーヒーを断ったら、さっきのお店で買っていたらしい東京土産を私にやると言ってきた。
じい「やるよ!やるよ!おめえさんにやるよ!ただじゃ帰れねえよ!」
EK「いいよ!大丈夫だよ!せっかく買ったんだから、東京みやげ持って帰りな!」
じい「だーめだ、だめだぁ!気持ちだから!」
EK「いや、でも、もらえn」
じい「条件なしで!条件なしで!条件なしで!!受け取ってな!」
条件なしで。この言葉を三回も言われてしまったら、もう何も言えませんでした。
二番線の階段の上と下、おじいちゃんを見上げる私に、おじいちゃんはたくさん手を振ってくれました。
最後の最後に、被っていた帽子を取って、一度だけ深々と頭を下げておじいちゃんは階段の踊り場からホームへ向かって去って行った。
そんなつもりじゃなかったのに、まさに食べたかったお菓子を貰ってしまい、なんだか悪かったなあと思いながら、私も山の手のホームに上がった。
家に帰れないかもしれない不安は、方向音痴な私なだけによくわかっています。老いては尚のことでしょうね。
おじいちゃんが嬉しそうに電車のホームに上って行った姿を見れた私の方が、もっと嬉しかったのだと伝えたいです。
あと、ごちそうさまと、ありがとう。これも伝えたい。
そんな帰り道でした。