「ひろ子、ソレならタナカは何処だろう。サトウでもいいんだけれど」 スーパーマーケットに
付き合って、鱸(スズキ)魚を見ていた恋人に、僕はトークサービスも兼ねて言った。 「しげお」。
と苦笑しながら憐れむような流し目をくれて、 「ココでソレを言うか。タナカは売れて、
サトウ(砂糖)はアレだろう」 。
と、向かいの棚を指差して言った。 「はあ、さとう・サトウ・砂糖......」僕がブツブツ口ごもっていると、
「おまえ、それも言うならイトウだろう。あんなに巨大な魚がここに居るか」 等と尻を叩かれ、
剰えケリを入れられそうになったので、コレはヤバイとコノ辺りでケリをつけた。
もお二十五年以上昔。初冬のスーパーマーケットでのこぼれ話です。
年の暮れ、魚を見ていると思い出す恋人とのデート(?)でもありました。 或る日忽然と煙の様に消えた
恋人。
自暴自棄の淵迄行き、多忙な仕事で辛うじてバランスを取っていた当時の僕だった。
ソンナ僕に「私は幸せだよ。心配しないで」と、風の便りで聞いたのだが......。
ENDE.


