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近年、プロ野球ではデータ分析が重視され、選手の起用や戦術が「数値」に基づいて決められることが増えています。


しかし、かつてのスター選手であるイチローや松井秀喜は、「データ偏重の野球は面白くない」と危惧しています。


この問題は、今のAI社会にも共通する課題ではないでしょうか?さらに、SNSでは誹謗中傷の問題が深刻化し、AIの監視システムが導入されても十分な対策が取られているとは言い難い状況です。


本記事では、データ重視社会の危うさと、その先にある「人間らしさ」の重要性について考えます。


  データ野球が生み出す「計算された退屈」


野球界では、AIやデータ分析の進化により、打者の弱点や投手の配球パターンが事細かに解析されるようになりました。


その結果、試合では「効率的な戦術」が優先され、個人の直感や勝負勘によるプレーが減少しています。


たとえば、以前の野球では「ここ一番の場面でエースが意地で投げ切る」「代打が相手エースから劇的な一打を放つ」といったドラマがありました。


しかし、今では「統計的にこの場面では〇〇投手が有利」というデータに基づき、細かく選手交代が行われます。


イチローは「データばかり見ていたら、野球の本質が失われる」と語り、松井秀喜も「感覚や経験が生きる場面が減ってしまうのではないか」と懸念を示しています。


  AI社会とデータ野球の共通点


このデータ偏重の流れは、今の社会全体にも通じるものがあります。


企業の採用活動では、履歴書のスコアリングがAIによって行われ、営業活動ではデータ解析による「最適な提案」が自動生成されるようになりました。


確かに効率は上がりますが、人間ならではの「直感的な判断」や「個性」が軽視される危険性もあります。


たとえば、営業マンがクライアントと対面し、「この人は論理よりも感情で動くタイプだ」と直感的に感じ取って、あえてデータではなくストーリーを語ることで契約につながるケースもあります。


しかし、AIはそうした「場の空気」を読むことができません。AIによる最適化が進むほど、仕事は合理的になる一方で、どこか無味乾燥なものになってしまうのです。


  SNSと誹謗中傷――AIは問題を解決できるのか?


AIの活用が進んでも、解決が難しい問題のひとつがSNSにおける誹謗中傷です。


現在、SNSプラットフォームではAIを用いた投稿監視システムが導入されており、不適切な言葉を含む投稿は自動的に削除される仕組みになっています。


  しかし、それだけでは十分とは言えません。


誹謗中傷の多くは、単純な「悪口」ではなく、巧妙な言い回しや皮肉を交えて行われます。


AIが機械的にフィルタリングしても、「法律的には問題ないが、人を傷つける投稿」は数多く残ってしまうのが現状です。


結局のところ、SNSの誹謗中傷問題は、技術だけでなく、個々のモラルや社会全体の価値観の変革がなければ解決しないのです。


人間らしさを取り戻すために


データ野球がつまらなくなるのも、AI社会が無機質になるのも、「人間の感情や直感が排除されているから」です。


テクノロジーは確かに便利ですが、それをどう活用するかが重要です。


野球であれば、データを参考にしつつも、選手の勝負勘や個性を活かす戦術を考えることが必要です。


ビジネスでは、AIの分析を活用しながらも、最終的な意思決定は人間が行うべきでしょう。そして、SNSの問題に対しても、「AIに任せる」のではなく、「人間がどう振る舞うべきか」を考えることが求められます。


合理性だけを追求した社会は、一見効率的に見えても、どこか味気なく、息苦しいものになります。


だからこそ、私たちは「人間らしさ」を忘れず、テクノロジーと共存する道を模索するべきではないでしょうか。