
筑後江島村本家家紋 五つ木瓜に剣花菱

筑後江島氏家紋 丸に隅立四ツ目
ようこそ、『江島氏物語』―通史に無い歴史物語 筑後江島氏とその庶流― にご訪問いただきまして有難うございます。管理人の下総国の住人、下総介甫康(しもうさのすけ うらやす)です。
●江島とは
中世の地名「筑後国三潴庄西郷江島邑(村)(みずまのしょう、さいごう、えしまむら)」
江島村は筑後江島氏発祥の地です。
そして現在の住所は「福岡県久留米市城島町江島」です。
江島の地名は鎌倉時代初期から文献に登場します。
明治以降の市町村合併によって、江島村は青木村、城島町、久留米市と名前を変え、現在は久留米市城島町の大字名にその名を残しています。
市町村合併や安易な町名変更によって、由緒ある古い地名が全国的に消滅していますが、四郎丸、青木島、青木等々、江島氏ゆかりの古い地名が現在も残っているのは大変幸運な事です。地名は「歴史のタイムカプセル」と言われます。その地名『江島』を姓とする貴方は、その名に800数十年の歴史を共有しているとも言えるでしょう。
●筑後江島氏とは
後に詳しく述べてまいりますが、筑後江島氏は平安末期から鎌倉初期頃に、千年川(筑後川)の砂州を開拓し、肥前国佐嘉郡高木村(現:佐賀市高木瀬町)から移り住み、その土地を江島と命名して、江島氏を名のります。以後、筑後江島氏は江島村、四郎丸村の二村を本貫とする国人領主として江戸時代の初めまで、約400年間武門の家を守ってきました。
江島氏は刀伊入寇(寛仁3年1019)で武名を轟かした、大宰権帥(だざいのごんのそつ)中納言藤原隆家を祖と称する肥前高木氏の庶流(分家)です。したがって本姓は藤原です。高木宗家、草野氏、北野氏、上妻氏などからなる高木党の一員として、守護大名の少弐(武藤)氏に仕え、後に大友氏、竜造寺氏、立花氏と主家を変えながら筑後の国衆として戦国末期まで存続しました。
筑後江島氏はその出自を中関白流とも少弐流とも自称していました。
豊臣秀吉の九州仕置きと兵農分離政策によって、筑後江島氏は大きな転換点を迎えます。秀吉の朝鮮出兵、関ケ原の戦いという大きな流れの中にも巻き込まれ、最大のピンチを迎えます。そして徳川の世となり、筑後江島氏は先祖伝来の土地を離れ有力大名の家臣として臣従するか、武士の身分を捨て商人や農民となるかの選択を迫られます。しかし江島一族は400年の歳月の中で培ってきた知恵と技能と才覚で、果敢に未来を切り開いていくのです・・・
中世における九州の歴史は源平の戦い、元寇、南北朝の戦い、戦国時代と、戦いに次ぐ戦いの歴史です。これらの戦の中でどれだけの氏族が滅亡していったことでしょうか。幸いな事に筑後江島氏と庶流の各家は一族滅亡の悲劇を味わうことなく、現在に至っています。今あらためて先祖たちの足跡を辿ってみると、良くぞ長きに渡って武門を存続出来たものと感動すら覚えます。
各地に分散した庶流の江島氏は佐賀藩や対馬藩、黒田藩等の家臣として存続します。また一旦、浪人となった筑後江島氏の一家は100年の空白期間を経て、江戸中期初頭に、柳川藩藩士として武門の再興を果たします・・・
●江島氏に関する記録や史料
歴史ブログやHP、書籍での江島氏の情報は大変少なく、あっても断片的なもので、体系的に江島氏について述べたものは皆無と言えます。
地方史の文献は県史や市史、町史などからあたるのが一番の早道なのですが、以前はその市町村の図書館に行って調べるしか方法がありませんでした。しかし最近では資料のデジタル化が進み、国会図書館では著作権の切れた市史や町史に関してはネットで読むことが出来ます。また一部の自治体でも市史、町史等の資料をネットで公開して、自由にアクセス出来る所も増えてきています。
さらに「グーグルブックス」ではキーワードによる書籍の本文検索が可能となっています。そして本当に有難いことには、歴史の専門家が書かれた歴史論文にも直接アクセス出来るようになった事です。時間はかかりますが、こうした様々な手段で江島氏に関する史料を集めることが出来ました。
また幸いな事に、我が家には先祖代々伝わる一族の伝承がありました。さらに江戸末期から明治、大正に至る時代に生きた先祖達の行動の中に、江島氏の歴史を探るヒントが隠されていた事も分かってきました。収集した文献情報とこれらの情報を繋ぎ合わせていくと、点が線となり、線が面となって室町後期から江戸期にかけての江島氏の実像がかなり分かってきました。
とは言え、史料は限られており、エビデンスとなる史料が全て揃っている訳でもありません。また遠く九州から離れて暮らす身ですから、詳細な現地調査を行う訳にもいかず、史料が不足する部分は推理を働かせながら物語を展開せねばなりません。そこが、当ブログを「歴史推理ブログ」と称する所以でもあります。ベッド・ディテクティブ小説をお読みになるような感覚で、気楽にご覧になって頂ければ幸いです。
では次回より、筑後江島氏についての考察を順次ご紹介して参ります。
また、このブログでは筑後江島氏以外に、豊前宇佐の江島氏や肥後の江島氏など別の血統の江島氏に関しても、知り得た情報は順次公開して参ります。またネタばれになりますが、和歌山起源の江島氏は筑後江島氏の庶流であることをお知らせしておきます。
では『江島氏物語』の始まりです。
2020.7.4一部改訂
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