長年お世話になっている先生から電話をもらった。

急遽通訳が必要だという内容だった。

 

通訳を頼む方は多くが自分の専門分野で長年働いているから

「内容は難しくない」思うようで、いつも「簡単な内容です」という。

しかし、通訳士はその内容に慣れていなく、通訳の完成度を高めるために、

時間をかけて準備する。

なので、当日の通訳依頼は申し訳ないけど断るのが普通だ。

 

今回の通訳も当日、それも一時間以内に来てほしいというので、

何回も断ったが、先生からどうしてもというので、

その企業の研究所に向かった。

 

研究所に行くと何人かのエンジニアが

翻訳機を使い、コミュニケーションをしていた。

 

休憩時間にクライアントから経緯を聞くと、

取引先に日本語と韓国語のできる社員がいて、

いままではあの方に通訳を頼んでいたが、

その人が急な出張で来られなくなったという。

 

その会社の担当さんはいつも相手方の社員に

通訳してもらい、ありがたい気持ちはあるが、

自分たちに不利な話はしてくれないのではないかなど

不安があったようだ。

それが、私が来てこれまでもやもやしていたのが、

すっきりしたという。

 

通訳士は常に話し手が話していることをそのまま伝えようとする。

そこに自分の感情や解釈を入れるのは禁物だ。

通訳士は誰の味方かというと、通訳の内容に限っては誰の味方でもない。

それが結果的にクライアントのためになる。

 

ただ、通訳士は両国のビジネス文化に精通していて、

雰囲気を読み取る能力にも長けているので、

その部分に関しては徹底的にクライアントの味方になろうとしている。

クライアントの利益を第一に考えるのだ。

 

その日、相手方の社員が戻ってくる二時間だけだったの通訳は

その後にも続いた!