昨日はアルバム全体のレビュー記事を掲載しましたが、今日は楽曲ごとの感想を書いてみました。
1. from me to u (feat. Poppy)
疾走感あふれるオープニング曲で、「1曲目はこれしかない」と誰もが納得する構成です。ジョーダン・フィッシュが楽曲制作に関わっており、『Kingslayer』の続編的な位置づけとも言えます。2020年代を代表するサウンドメイカーを制作陣に迎えたことは、BABYMETALにとって大きな意味を持ちます。
Poppyは今やKAWAIIメタルの一角を担う存在で、グラミー賞ノミネート歴もあるアーティストです。彼女の参加は話題性も十分ですが、スクリームのみの参加だったのは少し残念です。ただし、SU-METALのボーカルの性格を考えると、楽曲バランス上の判断だったのかもしれません。
※BABYMETALが出演した映画「ヘヴィ・トリップⅡ」を観た方はわかると思いますが、その中に登場するプロデューサーのフィストがアレンジした曲がジョーダンフィッシュっぽく思えたのは自分だけじゃない気がします笑
2. RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)
盛り上がり必至の定番曲で、50×50コラボのお手本と言える楽曲です。Electric Callboyは今やフェスのヘッドライナーを務めるほどの人気バンドで、彼らとの深い関わりはBABYMETALにとっても大きな意味を持ちます。エネルギッシュでキャッチーな展開が、ライブでも映える楽曲です。
3. Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)
デスコア×KAWAIIという“混ぜるな危険”な組み合わせを見事に昇華させた楽曲です。RATATATAとは異なる化学反応を見せており、聴けば聴くほど作り込みの深さに驚かされます。サビ裏に三味線が入っているのも隠し味的な要素で、あるとないとでは印象が大きく変わります。
日本語・英語・ロシア語の3ヶ国語が登場するのもBABYMETALならでは。音楽配信で歌詞テロップを見ながら聴くとより楽しめます。途中から読めないロシア語が出てくるのもユニークで、個人的にはツボでした。
4. Kon! Kon! (feat. Bloodywood)
バックサウンドはボリウッドメタル、歌詞は妖怪という異色の組み合わせで、こちらも“混ぜるな危険”な楽曲です。歌詞の世界観が非常に独特で、インドなのか日本なのか途中でわからなくなることがありますね。ただ、他の楽曲が個性的すぎるため、少し印象が薄く感じてしまうのが惜しいところです。これも音楽配信の歌詞テロップを観ながら聴いてほしいです。ヒンディー語の歌詞が出てくるところは思わず読めないってツッコミ入れたくなります笑
5. KxAxWxAxIxI
PaleduskのDAIDAIさんが制作した楽曲で、近年はBMTHやLil Uzi Vertの楽曲「TheEnd」の制作に関わっている注目のアーティストです。個人的にはDAIDAIさんらしいもっと“ガチャガチャ”した曲を想像していたため、少し戸惑いがありましたが、ライブで化ける可能性を強く感じています。
「KAWAII」というテーマをここで出してきたのは、15年の歴史を持つBABYMETALだからこそできる自己宣言のようにも思えます。
6. Sunset Kiss (feat. Polyphia)
The O2での初披露時から名曲と評されていましたが、アルバムでは洗礼された印象で、こちらのバージョンを好む方も多いと思います。SU-METALの柔らかいボーカル表現は新鮮で、PolyphiaのギターもBND以上に彼ららしさが出ています。
楽曲制作のメインは日本側ですが、Polyphiaのギターが決まった段階で曲を作り直したという話もあり、完成度の高さに納得できます。Polyphia側のアルバムにBABYMETALが参加するという話もあるので、今後の展開が楽しみです。
7. My Queen (feat. Spiritbox)
Spiritboxが楽曲制作を担当しており、彼らの楽曲にSU-METALのボーカルが乗ったような印象です。これまでのBABYMETALにはない作風で、新鮮さがあります。ボーカルのCourtneyがスクリームのみの参加だったのは少しもったいない気もしますが、SU-METALとのバランスを考慮した結果とも受け取れます。
8. Algorism
LUNA SEAへのオマージュが満載の楽曲で、特にSU-METALの歌い方がRYUICHIさんを彷彿とさせます。冒頭の「…こころの」の「の」の部分など、意識して歌っているのが伝わってきます。『シンコペーション』の続編的な位置づけでもあり、ファンにはたまらない一曲です。アルバム後半に安心感のある楽曲を配置した構成も好印象です。
9. METALI!! (feat. Tom Morello)
すでにライブ定番となっている楽曲で、トム・モレロのギターが更に彩りを添えて祭り感をさらに盛り上げています。スタジオ盤ではMOMOさんの「アーユーレディー」が入っていないのが少し残念で、アルバム用に録り直しても良かったかもしれません。
10. White Flame -白炎-
SU-METALが作詞を担当し、長年温めてきた楽曲です。メロディック・プログレッシブ・スピードメタルとも言える複雑な構成ながら、しっかりとまとめられているのが見事です。LEDAさんがギター・ベースとボーカルで参加しているのも嬉しいポイント。ライブでの演奏を期待したいです。コーラス部分は観客との大合唱が想像できるので、ぜひ覚えておきたい楽曲です。
総括
全10曲中7曲がコラボ楽曲で、そのうち5曲はコラボ相手側が楽曲制作を担当しています。これまでにないBABYMETALの音楽が生まれた一方で、どの曲にもBABYMETALらしさがしっかりと感じられます。これは、コラボ相手がBABYMETALの世界観を的確に捉えていたからこそ実現できたことだと思います。
ジョーダン・フィッシュやDAIDAIといった新世代のサウンドメイカーが今後も制作に関わっていく可能性が高く、BABYMETALの次なる展開にも大いに期待が持てます。
ということで曲ごとレビューでした。METALFORTHはBABYMETALシーズン2の始まりであり、今後の展開は更にものすごいことになることは必須。
BABYMETALを知るのにもいいアルバムだと思いますので、今までBABYMETALを知らなかった人にもたくさん聴いてほしいですね。
2025年はMETALというジャンルが注目されており、近年これほど新陳代謝が盛んなジャンルもないと思います。多岐にわたるMETALの銀河をぜひ巡って、自分の好きなMETALを見つけてほしいですし、そのきっかけがBABYMETALであることを願いたいですね。