続いて2023年の洋楽シーンについて振り返ってみたいと思います。
まずビルボード2023年の年間チャートを観てみたいと思います。
https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=uhot100_year&year=2023
これを観ると全体としてはあまり新しい動きというのはなかったように見えます。テイラー・スイフトが上位にいたり、マイリー・サイラスやSZA、TheWeeknd、オリヴィア・ロドリゴ等昨年もよく見る名前が上位に来ている感じです。
そんな中、Morgan WallenというアーティストがHOT100でもアルバム200でも1位を獲得しています。カントリー系歌手でアルバム「 One Thing at a Time 」11週1位を獲得しているそうです。グラミーにもノミネートされているということで、こういう傾向はいつものアメリカかなっていう感じがします。
ここ数年はビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴといった若き才能あふれるアーティストが登場し、新しいシーンを築いていましたが、今年はそういった事もなさそうな気がします。
そんな中、HR/HMの世界では着実に世代交代が進んでいることを実感した年でした。
まずSleepTokenのアルバム「 Take Me Back To Eden 」がヒットし、メタル専門誌やニュースサイトで高評価。おそらく自身最大規模の会場であるUK ウェンブリーアリーナでのライブも行いました。
来年のフェス番付で軒並み上位に名前があるのがBADOMENSやELECTRIC CALLBOY。BMTHはここ数年ヘッドライナーも務めるようになりました。
また、イタリアのロックバンド マネスキンは全世界でブレイクし、ヘッドライナーを務めるフェスまで出てきました。
こうした流れはコロナ禍前くらいから現れ始め、昨年くらいから顕著になり、今年世界的にコロナ禍開けしたこともあり、しっかりと進んだという印象があります。
5~6年前までは、いわゆるレジェンドバンドがヘッドライナーにいるのが当たり前でした。その傾向はまだありますが、それでも随分入れ替わった印象が今年はありますね。
レジェンドバンドの代表格であるMETALLICAは今年アルバムをリリース。各地でスタジアムクラスのライブを行っています。こうした中でも世代交代を実感できるというのはかなりの進歩と言えると思いますね。
そういった中でBABYMETALもその筆頭にあるというのは誇るべきことだと思います。
次にライブに関して。来日公演という括りですが、今年は本当に多かったです。
いつも参考にしているサイトを紹介しますが、その数にびっくりすると思います。
レッチリ、アーチ・エネミー、MEGADETH、スティング、アークティック・モンキーズ、ディープ・パープル、ハリー・スタイルズ、PANTERA(ラウパ)、スリップノット(Knotfest)、ボブデュラン、The1975、ドリームシアター、カーリー・レイ・ジェプセン、TOTO、MR.BIG、ケンドリック・ラマー(サマソニ)、リアム・ギャラガー、ハロウィン、スティーブヴァイ、ディジー・ミズ・リジー、エクストリーム、ポスト・マローン、サム・スミス、テデスキ・トラックス・バンド、モトリー・クルー&デフ・レパード、コールドプレイ、BMTH(NEX_FEST)、マネスキン、ナパーム・デス、ジョン・メイヤー等など。
一部抜粋でもこれだけのアーティストが来日しています。来年も早々にパット・メセニー、エド・シーランが1月、クイーン+アダム・ランバートが2月、ジャネット・ジャクソンが3月、そして9月には待望のアイアン・メイデンが来日公演を予定しています。
コロナ禍で中止や延期になっていた公演を一気に取り戻しているかのような怒涛のラッシュですよね。
チケット高騰もあって追いきれないという方も多いかと思います。自分もそうです。
そして多くは東阪もしくは東名阪止まりです。アーチ・エネミーは前回もかなり細かく周ってくれましたが、今年も札幌・福岡を含めかなり細かく周ってくれました。地方民にとっては本当にありがたいことだなって思います。
来年の公演ではパット・メセニーが地方公演はアコースティック編成でのライブですが、やってくれます。これもありがたいことです。
コロナ禍前ではこうした地方公演を予定してる海外アーティストも多かったのですが、やはり興行的に難しくなってきているのかなって思いますね。
ということで、今年の洋楽シーンを振り返ってみました。
来年の傾向の一つの指標になりそうなのが、今年リル・ウージー・ヴァートがリリースしたアルバム「PINKTAPE」。リル・ウージー・ヴァートはRAP/ヒップホップの人ですが、BMTHやBABYMETALとコラボしたり、 システム・オブ・ア・ダウンの「Chop Suey!」をカバーしてます。今まではメタル側からラップ要素を取り入れるということをしていましたが、そういう流れがヒップホップ側にも出て来ているというところを注目するところですね。
本当にジャンルを問わないというか、自分がいいと思ったものは取り入れるという意識があるんだと思います。こうした流れはリル・ウージー・ヴァートだけではなく他のアーティストにも観られるし、前段の若手のメタルバンドやアーティストに共通しているものだと思います。
元々海外では大まかなジャンル分けはあったとしても、それにこだわるかと言うそうでもないし、聞き手に関してはジャンルで聴いていないんじゃないかと思います。なのでこうした傾向は進んでいくでしょう。日本だけが制作陣(会社やレーベル)や聞き手がジャンルにこだわっている感じがして、これが障壁になるんじゃないかと思いますね。
やはり洋楽シーンはよく見ると面白いというか、先が色々と見えてきますね。来年はどうなるでしょうか。