もうすぐ12月ということで、年末年始にかけて大型映画が軒並みラインナップされています。


ということもあり、もうすぐ1ヶ月になりますし、映画館によってはそろそろ上映が終わるというところもありそうなので、現在上映中のMCU最新作「エターナルズ」のネタバレ感想を書こうと思います。

 

物語の核心や重要なポイントも含む内容になるので、まだ見ていない方はご遠慮下さい。

 

 

 

 

 

ネタバレなし感想の時にも書いたのですが、クロエ・ジャオ監督の撮る画がとても美しく、パワー全面に出しがちな今までのMCU映画とは一線を画する映像になっています。

 

その美しい映像と、今までのMCUで培ったアクションとの組み合わせが新鮮でした。海外の映画批評ではあまり評価されていないということがあったそうですが、映画全体の演出や映像を含め、MCUというよりも一つの映画として批評してみてはどうかと思いましたね。僕は引き込まれる魅力がありました。

 

MARVELの原作とはかなり設定が変わっているそうです。例えば主人公的な立ち位置のセルシは、原作では男性です。また、耳が不自由で、素早い動きが特徴のマッカリも原作では男性です。

 

この性別変更設定が原作ファンの方にどう映ったのかはわからないのですが、それを知らない自分はまったく問題なく、むしろ10人のエターナルズのバランスとしては成功したキャスティングと設定だったのではと思います。

 

原作設定の変更としては、エターナルズの生みの親とも言える、セレスティアルズも異なっているそうです。宇宙を創造するというところやエターナルズやディヴィアンズを創造するところは同じですが、セレスティアルズが知的生命体のいる星に、自分たちの仲間の種を植えて、そして反映させることで成長させるという設定はオリジナルだそうです。

 

もともとエターナルズとディヴィアンズは類人猿から進化させた人間。そして人間もセレスティアルズが生み出した生命体だったというのが原作設定なので、かなり変わっていますね。

 

こういう言った原作設定の変更はMCUでは結構あります。でもこれもそんなに違和感ないかなとは思いましたね。

 

このエターナルズのストーリーの展開も面白かったですね。最初のシーンは初めて地球を訪れたシーンから、ディヴィアンズから人間を守るバトルシーンで掴んで、その後いきなり現代に変わったりするのは面白いし、この流れもそのキャラクターの記憶をたどるというところからの過去シーンに行くのもわかりにくいということは無かったです。時間軸を行き来するとどうしても今はどの時代のことを話しているのかわからなくなりがちですが、それは最小限に抑えていたと思います。

 

そして、10人のキャラクターの描き方が本当に丁寧。主人公的役割のセルシとその恋人であり、物語の後半では的になるイカリスのシーンが多いのですが、それ以外のキャラクターもその性格や特徴、考え方の変化などもよく描いていたと思います。

 

ここで驚いたのが、何でも作り出してしまう発明家のファストスの変化。ファストスは人類の様々な文明を伝えるのが良いことだと考え、モノの作り方から蒸気機関まであらゆる文明を伝えていきます。

 

しかし、あるシーンでファストスは自分がやってきたことは間違いだったと嘆きます。それは1945年8月6日の広島。原爆が落とされたあとの広島でファストスは嘆き悲しむのです。

 

アメリカ映画で原爆を悪として描いたのは、(メジャー映画としては)もしかしたらエターナルズが初かもしれません。このシーンを観た時に本当に驚きましたし、やっとこういう描き方ができるようになったかと思いました。このシーンだけでもエターナルズを観た価値はありました。

 

ファストスはこのあと一切の発明をやめ、アメリカで愛する家族と慎まやかに過ごす事になります。とても重要なシーンですし、このあとエターナルズに合流する理由にもつながるシーンでもありました。

 

それから、セナとギルガメッシュの関係の描き方が良かったですね。長命が故に徐々に記憶が曖昧になってくるセナとそれを支えるギルガメッシュ。でもギルガメッシュは戦いの中でディヴィアンズに殺されてしまいます。とても良いキャラクターだっただけにここで退場なのはもったいなかったかなと思いました。

 

エターナルズのストーリーはヒーロー映画としては珍しくサスペンス要素もあります。リーダー的存在のエイジャックが何者かに殺されます。かなり早い段階です。そしてエイジャックの死によって、それまでばらばらになっていたエターナルズが集結。そして物語の後半。それまで仲間だと思っていたイカリスが実はエイジャックの殺害に加担していたことがわかり、エターナルズたちは自分たちの本当の役目、そして地球が滅亡することを知るという展開になります。

 

このあたりの持っていき方は面白かったですね。まさかでしたし、イカリスは全部知っていて、それもセレスティアルズへの忠誠心から来る行動だったというもの、全て悪とは言い切れない、この物語の核心めいたところにたどり着くところも面白かったです。

 

最後、エターナルズはイカリスについたスプライトと、セルシ・ファストス・セナ・キンゴ・マッカリ・ドルイグに分かれ戦います。新たな宇宙の創造には新たなセレスティアルズの誕生が不可欠と考えるイカリスたちと、セレスティアルズの誕生によって地球が滅亡することを許せないセルシたち。マクロとミクロの考えとも言える、この2組の戦いはどちらも善とも悪とも言えない、まさに今を表しているように思いました。

 

戦いはセルシ側が勝ち、地球は救われました。スプライトは成長できない自分を変えるよう、セルシに人間にしてもらいます。

 

一時の平和が訪れたかと思いきや、セレスティアルズに捕獲されてしまった、セルシ・キンゴ・ファストス。このあとどうなるのか、エターナルズ2が予定されているそうなので、次回作が楽しみですね。

 

そしてポストクレジットとエンドクレジットのことですが、まずポストクレジットに登場したキャラクター。元ワン・ダイレクションのハリースタイルが演じたエロスは、サノスの弟で彼もエターナルズだそうです。そしてテレポーテーションしてきたキャラクターはピップは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーにつながるキャラクターだそうで、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3に繋がりそうです。

 

エンドクレジットについては、ブラックナイトというキャラクターへの伏線とのこと。彼が開けようとした箱入っている剣はエボニーブレイドという剣で、呪いのかかった剣とのこと。そして、最後につぶやいた声の主は、クロエジャオ監督のインタビューから、ブレイド役のマハーシャラ・アリとのこと。

 

ということで、ここでブレイドとの繋がりも出てきました。

 

MCUフェイズ4の最初の作品である、シャン・チー(のテンリングス)とエターナルズの繋がりも気になりますし、このあとのスパイダーマンNWH、延期が決まったドクター・ストレンジなどとの繋がりもありそうです。

 

ということで、エターナルズの感想でした。MCUに全然詳しくなっくても映像が美しいし、キャラクターで多様性を実現したというところでも、先を行っているなと思います。

 

ぜひ観てほしいですね。