政府・民主党首脳会議が11日の会合で、永住外国人に対する地方参政権(選挙権)付与法案の通常国会提出を決めたことを受け、鳩山由紀夫首相ら与野党の推進派は12日、相次いで積極姿勢を示した。ただ、所管閣僚の原口一博総務相は記者会見で「連立政権だから連立3党で意思決定されて初めてわれわれ(総務省)がオペレートし始める問題だ」と述べ、法案策定の着手には、反対の立場の国民新党を含む与党3党の合意が必要との認識を示し、推進派との微妙な温度差を露呈した。

 鳩山首相は12日、首相公邸前で記者団に参政権法案について問われ「(与党内の)理解は得られると思っている」と与党合意に自信を示した。「政府内で検討している最中だ。日韓併合百周年というタイミングでもある」とも述べ、韓国の要求に配慮している立場をにじませた。

 同日昼、東京・内幸町の帝国ホテルで約800人が参加して、在日本大韓民国民団中央本部(民団、鄭進団長)の新年パーティーが開かれた。話題が参政権に及ぶと、そのつど大きな拍手が起こり、さながら与野党幹部や閣僚が通常国会での参政権法案成立を誓う場となった。

 鄭団長は「2010年が明るい未来への象徴として地方参政権付与の年となれば、これにまさる喜びはない。通常国会で日本世論の祝福をもって実現されることを切に願います」とあいさつ。韓国の権哲賢駐日大使も「必ず実現するようお願い申し上げます」と与野党幹部に要請した。

 この後は、同調する日本側要人の大合唱となった。

 民主党の小沢一郎幹事長の代理としてあいさつした山岡賢次国対委員長は、昨年12月12日夜のソウルでの李明博韓国大統領と小沢氏の非公式夕食会合について「そういう(地方参政権の)話がかなり出たとうかがっている」と明かし、「参政権成立に全力で錦の御旗(みはた)として取り組む。頑張ります」と、通常国会成立を約束した。

 また、中井洽(ひろし)国家公安委員長は「5日の閣議で首相が原口総務相に法案づくりを言った。今国会成立で親善増進を」、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相も「これからの日韓は共生と協調の百年にしたい。まず地方参政権の法案を成立させたい」と述べた。江田五月参院議長と公明党の浜四津敏子代表代行、共産党の穀田恵二国対委員長も推進を表明し、拍手を浴びた。

 一方、国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は12日の記者会見で「法案提出について民主党から打診はない。国民新党は賛成していない」と改めて反対する姿勢を鮮明にした。その理由について亀井氏は「憲法の精神の面からも参政権は慎重に扱うべきだ。参政権が得たい人は帰化すれば済む。帰化しやすくすることを考えればいい」と、同法案を正面から批判した。原口総務相の慎重姿勢は亀井氏のような反対論が連立内や民主党内にもあることに配慮したものとみられる。(榊原智、坂井広志)

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