【書名】重大事件に学ぶ「危機管理」
【著者】佐々淳行
【発行日】2004年4月10日
【出版社等】発行:文藝春秋
【学んだ所】
・危機管理の知識を得ることはもちろん大事だ。しかし、その知識が本当に実践の場で生きるかどうかの境目は、アメリカの大哲学者、ウィリアム・ジェイムズの言葉を借りれば、「私がやらずに誰がやる」という気概である。
・A~Wの危機
A=アトミック(原子力)、アブダクション(拉致誘拐)
B=バイオロジー(生物兵器)
C=ケミストリー(化学兵器)、コンピュータ、カルト、クライム(犯罪)
D=ディザスター(災害)、ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)
E=エコノミー(経済)、エコロジー、エネルギー、アースフェイク
F=ファイナンス(金融)、ファイヤー(火事)
G=ギャングスタ―(組織暴力団)
H=ハイジャック
I=インストール
J=ジュビナイル・ディリクエンシー(青少年犯罪)
K=キッドナップ((子供の)拉致誘拐)
L=レイバー
R=リボリューション
S=ストーカー
T=テロリズム
W=ウォー
・上司は責任感が強い人ほど、不在中に何かあっただろうか?と常に不安なのだ。だからお茶よりもおしぼりよりも、「お疲れ様でした」というねぎらいの言葉よりも、「何もありませんでした」というネガティブ・リポートが大事なのだ。
・知っていても知らなくても、「いや、ありがとう。大変参考になった」と言える上司であってほしいものである。竹下登総理はそういう人だった。そういう上司の下なら、部下も育つ。
・自らを危機から守るには、自分で守る(自助)、お互いに守り合う(互助)、公的機関に守ってもらう(公助)の三つの方法である。
・テロリズムというのは、テロル、すなわち恐怖に陥れることによって、相手に言うことを聞かせるという卑劣な手段のことを言う。したがって、この手段は、平時が続いて人々が平和を楽しんでいるときが最も効果的なのだ。
・油断大敵の心理が、危機管理の際に最も必要なことなのである。
・一番よいのは、事前に手を打って予防することなのだ。
・後藤田五訓
- 省益を忘れ、国益を想え:大きくは世のために働けということだが、まずは社会全体のためを思って仕事をしなさい、ということ。⇒視点は高い方がいい。本当に会社のためを思って上司とぶつかるなら後に遺恨を残さぬものだが、私益のためにあれこれ反抗するような者は誰にも相手にされなくなる。
- 悪い本当の事実を報告せよ
- 勇気を以て意見具申せよ
- 自分の仕事でないと言う勿れ
- 決定が下ったら従い、命令は実行せよ
・知るということは、責任がくるということだ。
・「敵はお前に何をしてはいけないかを教えてくれる」フリードリッヒ・シラー
・組織力が最大限に活きる五つの条件
- リードタイムが十分にある:準備する時間を与えることだ。リードタイムには思う存分、納得いくまで議論を尽くせばいい。
- きちんと成文化されたルールが定まっている:法的根拠があること。民間の場合なら、雇用契約書が交わされていて、その下で就業規則などの成文化されたルールに従って働いているときは、十分に組織力が発揮されるのである。
- 予算が付いていること
- 任務分担が決まっている:民間なら、直属の上司がなるべく具体的に部下たちに自分の任務をわからせておかなければならない。
- 指揮官がひとりいる:決定を下し、指揮命令する人がひとりいること。