【書名】人と企業の真の価値を高めるヒント
【著者】大久保寛司
【発行日】2006年9月25日
【出版社等】発行:中央公論新社
【学んだ所】
顧客重視の社風を創る
「企業風土がそこにいる人の行動の基本を定める。人を生かし、能力を発揮させる基本は、持っている風土。」
「お客様を大事にする風土は、これからの企業力である。この風土を創るための努力を惜しんではならない。」
- 人、資本、準備、情報といった会社の資源を生かすも殺すも、会社の風土すなわち「社風」にかかっている。「土壌」と言い換えてもよい。どんなに種や苗が優れていても、土壌がよくなければ、品質の高い作物を作ることはできない。土壌づくりは、すべての基礎なのである。
- これからは、こうした風土が大きな力を持つ時代になる。社外に人脈を持ち、「公」の場で活躍している、そのような人を素直に評価することが大切だ。
- 「出る杭を打つ」ことばかりに躍起になっていては、変化に対応できる人材も育たない。
- 何か問題が起こったときに、社員が上司の顔を思い浮かべるのではなくて、顧客のことを考える。自社のルールを押しつけることをせず、一度お客様の立場になって考えてみる。こういう姿勢を保ち続けることが、「顧客重視の社風」に結びついていく。
- 所属する組織とか、偉い人のメンツとか、美しい資料とかにこだわるのではなく、あくまでも「お客様のために」という一点で、みんながまとまっていく。これからは間違いなく、こうした社風を持つ会社が強みを発揮していく。
- 会議のテーマ、中身が、お客様の声をもとに、そこに示された課題を解決するという方向性を持ったものなのか、じっくり見直してみる必要がある。
- 役員会の場で、役員が「お客様のために何をすべきか」を真剣に議論する。真に顧客指向の社風を目指すのならば、まずこういうことから、トップ層が先頭に立って実行することが必要である。
- 社風を引き継ぐのも、新しい風土を創造するのも、それを具現化していくのも人間である。人材育成の大切さは、本当に、トップの腰を据えた努力が必要なのである。
- 何にどれだけ時間をかけているかが、その人の本音の現れである。善し悪しは別にして、下は必ず上の動向を観ている。
- 「主人公」であるお客様は、「無理やり売り込まれたい」とも、「囲い込まれたい」とも、ましてや「落されたい」とは、微塵も思っていない。お客様が考えているのは、「自分に価値を提供して欲しい」「満足を与えて欲しい」ということ。真に顧客の立場に立つのなら、「売り込む」ではなく「ご提案」、「囲い込む」などど言わずに「さらに理解していただき、関係を深める」と表現する。このような「気の遣い方」ができるはずである。
- 企業は、人である。「人材育成」ともうひとつの重要な要素は人事である。どういう人に場を与え、重要な仕事を任せ、そして登用、昇進させていくのかには、トップの考えが如実に現れる。これこそ、言葉では覆い隠せない、本音の世界である。能力や仕事の中身を無視して、自分に尻尾を振る人間だけを重用していれば、やがてその組織は崩れる。
- 本気になって、「お客様のために」を実践している人間をこそ、登用していくことが求められる。これが顧客重視の社風を確立していく、遠いようで最も近い道である。
- 経営トップの社員への最大のメッセージ、それは年頭所感でもなければ、社内報に載せる「檄文」でもない。人事なのである。これを見れば、経営トップの言う顧客指向が本物なのかそうじゃないのか、一目瞭然なのである。
- 企業の側がどんなに主体的に努力してみても、所詮、相手(お客様)に評価されなければ、意味がない。自分たちの頑張りが相手には通じない。現実には大変多い。お客様の満足の程度は、いったいどのくらいなのか。この点は、正確かつ客観的にとらえておく必要がある。
- 客観的評価に欠かせないのが、「顧客満足度調査」。これを活用して、相手と自分の実際のギャップを認識する。あるいは改善可能領域を理解して、より高い満足度を目指していくことが大切だ。ただし、本当に調査の結果を経営に生かしていくためには、前提としてその結果を真摯に、素直に受け止める態度が求められる。悪い結果は、悪いなりに受け取って、なぜそういうことになっているのかをすぐに検討してみればよいのである。
- 満足度調査では、いわゆるフリーコメントを丹念に読むことが大切である。トップ自らが目を通すべきである。そこには、多種多様な苦情や要望・意見が書かれている
- あれこれと主観的に考える前に、お客様に聴いてみる、行き詰ったら市場に問うてみる、こうした姿勢が何にも増して大事である。聴いてみて、聴き方に問題があると感じたら、変えて行けばよい。お客様は、自分たちとは違うことを考えている。このことを前提に、経営に当たるべきである。
- 「顧客満足度調査などに示された声を実際の経営に生かす」というときに、指摘された項目について、それらを仕事のやり方とか手続き、プロセスの改善に、具体的につなげていくことが大切である。社内の業務プロセスの改善を、「これはお客様の声に基づいてやるのだ」「お客様が満足されていないのだから、今のままではダメなのだ」というふうに動機づけられるようになれば、素晴らしい。
- 本気で「お客様を軸に」「お客様を起点に」経営を行おうとするのであれば、お客様相談センターを、単なる窓口にとどめることなく、そこに寄せられた声を分析し、より本質的な問題を感知し、さらにそこから新しいビジネスの芽を育てる戦略部門として位置づけてみる。そうなると当然、そこで実際にお客様と応対する人間の役割も極めて重要なものになる。
- お客様を無視していて何も分からないが、その声を集めれば市場のすべてが分かるというわけではない。潜在需要を事前につかむことは、ほとんど不可能である。今までのヒット商品と呼ばれるものは、市場に出してみたら予想外に売れた、というパターンがほとんどである。潜在需要を呼び覚ます商品の開発。最後はお客様が欲していること、現実に困っていることをキャッチする慣性、想像力の勝負になる。お客様のことなど眼中にない、プロダクトアウトの発想に凝り固まっている限り、そうした想像力を磨くことなどできないのも、事実である。
- 「聴く」という行為の大切さは、企業が顧客に対する時にも言えること。顧客重視の社風を創るうえで、欠かせないテーマである。大事なのは説明することよりも、むしろ聴くことなのである。お客様は、いつも本心を語ってくれるとは限らない。うわべの言葉だけでは本当の顧客の声とは言えない。本音を引き出すためには聞く能力を向上させなければならない。お客様の苦しみや不満は、直接現場に出向かないと、真実を体感するのは難しい。
- お客様の方に目を向けた風土を作るには、まずトップ自ら率先垂範すること。
- 日本人の特徴の一つとして、心から詫びた人は許し、応援する風土がある。
- 顧客指向の会社にしていくうえでの最高責任者は、言うまでもなく経営トップ、その人である。それも、「最終的に責任を持つ」といった”引き気味”の姿勢では不十分で、自らボールを奪い、部下を従えてゴールに迫る。まさに率先垂範が要求されている。
- 自分たちはどこを向いて、誰のために「仕事」をするのか、価値を提供していくのか、という視点をもう一度確認し、それを基準にして変えていかなければならない。=政治や官僚は「国民」のため、自治体は「住民」のため、医者は「患者さん」のため、そして、企業は「お客様」のため。
(まとめ)
お客様を大事にする風土は、これからの企業力である。
何か事が起きたとき、何を先に考えるか?会社のルールか、上司の顔か、それともお客様の心情か。
社員の判断の軸はどこにあるか?まずお客様、次に会社、自分の組織、自分、この順でなければならない。
上下の会話はフランクに、本音で行なわれているか?現場の意見は上まで通っているか?縦割り意識を排除し、チームワークで事に当たっているか?
お客様の満足度を上げるための討議を、どれだけしているか?経営幹部もお客様の意見を、生で聴いているか?お客様相談センターは重要視されているか?
商品やサービスを考えるとき、販売提案を考えるとき、常にお客様の立場で考えているか?
お客様を大事にする風土を持った企業こそが、人と企業の真の価値を高めることができる。
「優れた経営をやっている企業の本質は同じであり、原理原則がある」新将命
①トップの心の中に燃えるような情熱があること。
②従業員が仕事の意義・目的を理解していること。
③生きた計画があること。
- 長期計画・短期計画のバランスがとれていること。
- 主要な人が計画立案に参画していること。
- 進むべき方向のコミュニケーションがされていること。
- 事後評価とフィードバックによる学習と改善がされていること。



