前回は「経済成長と糖尿病」について話をしました。

今回は太れる才能についてです。

 

【太れるということ(1)】で私は『タレントさんが「体重100㎏いけるのは才能」と言ったのに納得した』と言いました。

前回までの話で「そういうことか!」と気づいた方もいるかもしれませんが、今回はそのまとめ回です。

さて、太るためにはいくつか条件があると思いますが、私が思う条件は次の3つです。

 

① 食べ物が豊富にあること

② 消化と吸収がしっかりできること

③ インスリンなどの代謝ホルモンがしっかり出ること

 

①は経済面や生活面など、環境のことです。

今の世界ではお金がなければ食糧の調達が難しいのが現実です。一方で、お金がたくさんあっても食糧自体が無ければお腹は満たせません。

まずはお腹いっぱい食べられる、この環境がなければ太れないのです。

 

②と③は体の中のことです。まずは②から。

食べ物が栄養素となり、体内で活躍するには消化・吸収が必須です。この能力は個人差もあれば年齢差もあります。基本的に若い人ほど能力が高く、歳を重ねると低下します。

この能力が低い人はいくら食べても体重が増えない傾向にあり、いわゆる≪痩せの大食い≫さんが該当します。現代では「いいな~」と羨ましがられますが、生き物的な目線で考えると、すごくコスパが悪いので、本来であれば生存率が低かったと予想できます。

逆にこの能力が高いと、少しの食糧でも栄養素が体内にちゃん入るため、食糧難でも生き延びる可能性が高いです。

 

③は前回までの話です。

≪ブドウ糖‐インスリン≫のように、吸収された栄養素は代謝ホルモンのおかげで速やかに細胞内へ取り込まれ、利用されます。しかし、ホルモンの生成・分泌はそれを行う臓器(インスリンなら膵臓)の能力次第で、そこが限界を迎えると、栄養素が血液中に溢れてしまい糖尿病や脂質異常症などの代謝異常を誘発します。

つまり、必要に応じた量のホルモンを出し続けられる臓器を持っている人は太れるということです。

 

以上のことから、太るには自分の行動や努力だけじゃない部分があることに気づいてもらえたでしょうか?

 

いくら努力しても手に入らない、そういう物を人は≪才能≫と称します。

世の中には“神から特別な才能を与えられた”人物がいますが、満腹を感じれる環境や強靭な臓器を持った人も“神から与えられし才能”の持ち主だと、私は思います。

 

特にアジア系民族はその食文化から欧米系の人に比べ、インスリン分泌能が低い遺伝子を持っていると考えられます。

なのに、体重100㎏を超えられる。

これはもう、神が与えし才能ではないでしょうか?

 

太れるということ(7)に続く