今回は学力についてです。
実は≪朝食を摂ることのメリット≫ で注目されている事がもう1つ あります。
それは学力。
日本は教育制度が整備されている国なので、子ども達はある時期を境にコレが求められるようになります。
私も過去には数学の公式、英語や古文の単語&文法、歴史の年号、化学式・・・などなど、今となっては「全然使ってな~い」というものも必死で覚えました。(でも覚えられなかった)
そんな≪覚える力≫が大部分な学力はまさに記憶力。
前々回、「インスリンの分泌低下が記憶力を増す」という研究結果に触れました。その研究はショウジョウバエや線虫が対象だったので、全てがヒトに当てはまるとは思いません。しかし、
毎日朝食を摂取している子どもの方が学力が高い傾向にある
という文科省のデータ(平成31年度(令和元年度 )全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果)を見ると、
「ヒトの記憶力もインスリンの分泌低下が関わっていてもおかしくないな~」
と私は思いました。
というのも、空腹時(糖新生が活発な時)のインスリン分泌は低下してないからです。
もちろん血糖が少ないので、分泌量は少ないですが、糖新生の影響で幾分か増加に転じています。
つまり、インスリンの分泌が最も低下するのは糖新生が起こる直前。
そして、この時が1番記憶力が上がる時(ショウジョウバエや線虫を対象にした研究より)と考えられます。
では、それはいつなのか?
正直、正確な時間はわかりません。個人差があるので。
ただ、食後に来ることは予想できます。なぜなら、食事は最も血糖値を上げる行為だから。
ここで1つの疑問が出てくると思います。
「血糖値が上がったらインスリンの分泌量は増えるじゃん。逆のこと言ってない?」
はい、その通りです。が、ポイントはその先。
分泌されたインスリンのおかげで血糖値はイイ所まで下がります。そうなると、今度はインスリンの分泌量が減り始めます。そう、記憶力が増すと考えられる、
インスリンの分泌低下。
そのままキープできるか・・・?となりますが、時間が進むと糖新生が始まるので、今度は上昇に転じます。糖新生により血糖値が上がってくるからです。
その後、食事を取れば分泌量は増加し続けますが、なければ上昇に転じた時くらいの分泌が維持されると考えられます。
つまり、何かを食べないとインスリンの分泌は低下に転じず、最低ラインに到達しないということです。
なんか、すごい矛盾を感じます。
食べたらメッチャ出るくせに、食べないと下がらないなんて・・・体の不思議。
そんな体の矛盾を感じながら、次回は「なぜ、朝食を食べた方が学力が高いのか」について考察していきます。
インスリン~君はナニモノ?~(9)へ続く