「ブドウ糖は癌のエサ」ということが広く言われ、糖質制限をされている方もいらっしゃると思います。
しかし、分子整合栄養医学では癌患者さんの「極端な糖質制限」はお勧めしていません。。。
もちろん、血糖値が乱高下するようなスイーツ、菓子パン、甘いドリンクなどの質の悪い糖質の過剰摂取は言うまでもなく避けた方がいいです。❌
ただ、ある程度の良質な糖質は、体のたんぱく質を守るために必要なのです。
これは糖代謝がどのように行われるかを生化学的に見ていくと、わかっていただけると思います。
私たちが食べた糖質は、グルコース(ブドウ糖)に分解され、小腸から吸収されます。
そして細胞の中でグルコース→ピルビン酸→アセチルCoAに代謝され、これがミトコンドリアに入って、ビタミンB群など栄養素の助けを借りてTCA回路(クエン酸回路)が回り、電子伝達系を経て、大量のエネルギーを生み出します。
通常、血中のグルコース(ブドウ糖)は食後3時間後には減少し、その後は肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンをもとにグルコースを生成し、血糖を維持します。
しかし、その貯蔵のグリコーゲンも10時間ほどで減少し、24時間後には枯渇し、血糖も下がり切ってしまいます。
これは飢餓状態です。
そうなっては困るので、その前に、血糖値が下がってくると、まず体はこのように↓筋肉などのたんぱく質を分解してアミノ酸にします。
(このようにたんぱく質が分解されることを「たんぱく異化」と言います。)
そして肝臓で↓下図のように、その分解されたアミノ酸を材料に「ピルビン酸→グルコース」と通常の代謝とは逆の流れで糖(グルコース)を生成し、これを血中に放出して血糖を維持するのです。
私たちの体には、このように糖が少なくなると糖以外のもの(アミノ酸、脂肪、乳酸)から糖を生成して、飢餓をしのぐバックアップ機能が備わっているのです。
つまり、体にはホメオスターシス(生体恒常性)が備わっており、「糖質は癌のエサ」といくら口から入ってくる糖質を制限しても、体は血糖を維持しようと、せっかくとったたんぱく質をエネルギー源として燃やしてしまい、それもなくなると上記の糖新生により勝手に筋肉などのたんぱく質を分解してアミノ酸から糖を生成するため、結局、癌細胞はその生成された糖の供給を受けることになるのです。
そしてさらなる問題。。。
ここで極端な糖質制限をしてしまうと、口から糖質が入って来ないので血中の糖(グルコース)は常に少ない状態になります。
このときせっかくとった大事なたんぱく質は血にも肉にもなることなく、糖質の代わりにエネルギー源として燃やされてしまいます。
そんなのもったいないですよね。。。。
そしてそれもなくなってくると、体は飢餓状態にならないように、無意識のうちに先ほどのバックアップ機能である糖新生を頻繁に起こし、アミノ酸から糖を生成しエネルギー源とします。
そしてその都度、筋肉など体たんぱくはどんどんアミノ酸に分解され、たんぱく異化(分解)が亢進してしまうのです。
私たちの体は常に異化(分解)と同化(合成)を繰り返すことで機能を保っているので、異化(分解)はもちろん必要な反応ではあります。
しかし、この異化が過度に進んでしてしまうと、大事な筋肉などのたんぱく質はどんどん壊され減少してしまうのです。
これは、言ってみれば、山小屋の近くで焚き火をしていて
「糖質」という薪が全て燃やされて無くなってしまったあげく、「薪がなくなった、困った」と近くにある「たんぱく質」である山小屋の柱を切り崩して薪にし、それを燃やしてしまっているようなものです。
本来、たんぱく質には筋肉、臓器、血液、ホルモン、酵素、免疫細胞など体を構成するたんぱく質としての大事な役目があり、それを壊してまで薪(エネルギー源)として燃やしてしまってはいけないのです。
また糖質制限というのは、「したほうが良い方」もいれば「するとかえって危険な方」もいます。
特に低血糖気味の方や副腎疲労がある方にとっては糖質制限はデメリットしかありません。
これは詳細な血液検査から判断できます。
にもかかわらず、そこを確認することなく「糖質は癌のエサ」と一概に過剰な糖質制限をするのは、危険でしかありません。
実際、極端な糖質制限をしている方の血液検査結果を見てみると、「たんぱく異化亢進」してしまっている様子が如実に見てとれます。
そもそも、癌があると癌細胞からのサイトカインや慢性炎症などによりたんぱく質はどんどん壊されていきます。
そこへ極端な糖質制限をしてしまうと、過度な糖新生によりますます輪をかけてたんぱく異化が亢進し、筋肉はやせ細り、アルブミンなどのたんぱく栄養は減少し、たんぱく質を材料とする免疫細胞もうまく合成されなくなってしまいます。
これこそ「癌が好む環境」です。
もちろん、糖質の過剰摂取、これは言うまでもなく癌には良くありません。
しかし、だからといって口から入ってくる糖質を極端に制限したところで、体内の糖が少なくなれば、体は勝手に摂取したたんぱく質をエネルギー源として燃やしてしまい、糖新生により筋肉を壊して糖をまかないます。
それが度重なると、結果的にはせっかくとったタンパク質をエネルギー源として燃やし、自分の筋肉やたんぱく質を壊しながら、血糖を維持しているに過ぎない状態になってしまうのです。
昨今は、このように「自己流栄養療法」「なんちゃって栄養療法」があふれていますが、間違ったことを続けていると思わぬ弊害を生み、修復するのに莫大な費用と時間がかかってしまいます…。
癌だからこそ、そんな回り道は避けたいですよね。
生化学の理論に基づいた栄養療法の専門医から正しい知識を得ながら、自分自身で「癌が住みづらい環境」を作っていきましょう。
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・2021年10月 右乳癌ステージ2B
腫瘍径 1.8cm ER100% PR100% Her2(-) Ki67 30% 核異形度3 ルミナルB 腋窩リンパ節2ヶ所に転移あり
・2021年12月 放射線治療
・2022年 1月 ホルモン療法開始
・2022年 6月 PET 乳腺、腋窩リンパの腫瘍は消失も肝臓2ヶ所、肺、肋骨に転移が判明→乳癌ステージ4
・2022年 8月 免疫療法開始
・2022年 2月 PET 肝臓2ヶ所は縮小
・2022年 3月 肋骨のみ放射線治療
・2022年 3月 肺、肋骨に追加の免疫処置
栄養療法に支えられ、元気に乳がん闘病中
乳がんステージ4でも負けない!
分子整合栄養医学 KYBの栄養療法とは?
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