めざしたのは川底温泉である。
川底温泉は、浴構の底に河原の小石が敷かれており、川沿いにある温泉で、
昔は敷居なんかなくて、川を温泉が流れていたのだろう。
いまでも、川のそこここから湯が湧いている。
湯の川である。
浴室は三段の浴槽に別れていて、浴槽の最上段は打たせ湯になっている。
十畳ほどの浴槽が順番に下に流れるようになっている。
上の湯はやや熱くて、打ち身、ねんざ、婦人病に効く。
二番目の湯はちょうどいい湯加減で、リウマチ、神経痛に効く。
三番目の湯はいちばんぬるく、切り傷に効き、美臼作用がある。
それぞれが微妙に温度差があり、やわらかく、さらさらとした単純温泉である。
順番に湯につかって目を閉じていると、
地球の見えざる力がそれぞれ役割を分担して肌にしみ通って来るのを感じる。