私は大学受験生なので、2024年の大学入学共通テストを受験しました。

皆さんに問題を解く感触がどんなものか知ってもらいたく、最も自信のある科目である地理Bの感想を記します。 

第一問(自然環境と自然災害)(やや難)

問一(易)

まず、イギリスには新期造山帯がなく、NZにはあることから、200m以下の土地の割合が過半を占め、1200m以上の部分がほとんどないアがイギリス、標高の高い部分もそれなりに存在するイがニュージーランドです。次に、イギリスの牧草地面積は40%を超えているので、Aが牧草地です。また、ニュージーランド南島の西部には森林が広がっていることからも、Bが森林だとわかります。正解は3。
 

問二(標準的)

正解は3。北緯60度から80度にかけては、降雪量は少なくなると考えました。
 

問三(易)

Dはリアス式海岸で、2。ギザギザした形が特徴的です。Eはフィヨルドで、4。細長い形に入り江が伸びているのが特徴的です。Fはエスチュアリ(三角江)で、3。三角形に海が入り込んでいます。Gは潟湖で、1。選択肢にもあるように、入り江の入り口に砂がたまったような陸地ができています。比較的線がまっすぐな印象を受けますね。正解は4。
 

問四(難)

間違えました。1月の日照時間が短い1を高緯度のオスロ、7月の日照時間が長い2を地中海性気候のローマ、1月のほうが日照時間の長い4をシドニーとして3を選びましたが、正解は4。誰か教えて
 

問五(やや難)

カナダでは半分以上の洪水災害がシの時期に起きていることに着目して、これを雪解けの3~5月とします。また、ボリビアの夏である時期に降水が多い(この辺りはAwかCwであったのではないでしょうか)と考え、サを12~2月とします。正解は4。
 

問六(やや易)

日本記録を暗記しているような方なら簡単だったのではないでしょうか。タは室戸岬や富士山、南西諸島(台風がよく直撃する)にみられることから最大風速、チは尾鷲などにマークがみられることから降水量、ツは熊谷や多治見などの内陸部、江川崎にみられることから最高気温です。正解は5。
 

第二問(産業)(標準的)

問一(標準的)

まず、鉄鉱石の産出はオーストラリア、ブラジル、インドなどの安定陸塊に位置する面積の広い国で多いということを抑えておくべきと思われます。オーストラリアでは鉄鋼業がそれほど盛んでなく、鉄鉱石を大量に輸出している一方で、中国やインドは鉄鋼業が盛んなため輸出はあまりしていません。また、日本は鉄鋼業が盛んですが、鉄鉱石は輸入のものが多いです。このことを踏まると、オーストラリアとブラジルの円がずば抜けて大きいAが輸出量、中日韓の比重が大きいBが輸入量、オーストラリアやブラジルはもちろんインドや中国でも多くなっているCが産出量です。オランダが輸出国となっているのは、中継貿易のためでしょうか?正解は5。
 

問二(標準的)

正解は2。製鉄に必要な石炭は戦後も国内で産出されています。
 

問三(やや難)

Eは日本の石炭輸入元として最もシェアの大きなオーストラリアです。選択肢の「国内市場が小さく、採掘された石炭の多くが輸出されている」というイがあてはまります。FとGは分からなかったので、「輸出量が増加した」とあるのを信じてFをア、Gをウとしました。正解は3。
 

問四(標準的)

まず、1990年の人口一人当たりの製造業付加価値額を見て、1、2が中国とベトナム、3、4がイギリスとドイツと考えます。ドイツはイギリスに比べると第二次産業の比重が高いので、3がドイツです。正解は3。
 

問五(易)

正解は1。豊富な労働力を求めるならば、日本の農村部より人件費の安い外国のほうがいいはずです。
 

問六(易)

特にコメントはありません。正解は4。
 

第三問(都市と生活文化)(やや易)

問一(易)

Aは臨海地域で工場が立ち並んでいます。貨物駅や工場の跡地には大規模な商業施設が立地しがちですね。(e.g.ささしまライブ24地区)したがってウ。Bは都心部です。このような場所ではバブル期の地価高騰により住めなくなった人々が郊外へ移ったため人口が減少したという事例が多く見られます。したがってア。しかしバブル崩壊後は現在に至るまで都心回帰傾向が続いています。Cは郊外のニュータウンです。核家族が一気に集まったことから現在、一斉に老いているところが結構多いです。したがってア。正解は5。
 

問二(易)

都会ほど鉄道がよく使われ、田舎ほど自家用車が使われる傾向にあります(都会は土地が高いので、駐車場代がかかる!)。したがって1と4が東京都の2市区で、昼夜間人口比率の高い1が中央区、低い4が調布市です。秋田市と福岡市はいずれも中心的な都市ですから昼夜間人口比率は100%を超えますが、福岡市は那珂川市、春日市、大野城市、志免町などのベッドタウンを抱えていますからその分高くなります。また、福岡市のほうが秋田市より都会なので、公共交通機関を使って通勤・通学する人は多くなります。また、福岡市はバスの街としても知られていますね。正解は2。
 

問三(標準的)

一番右上にある丸はどう考えても東京なので、自動的にキはBRICSとなります。金融業は高学歴の人が就きそうな職ですが、農村部から都市に流入してくる人々は貧しいことが多い(cf.金の卵)ので、なかなか高い教育にはありつけなさそうです。正解は4。
 

問四(やや難)

知ってたら解けるし、知らなかったら解けない。最大都市を100としているので人口規模から判断することもできません。シドニーとメルボルンがほぼ同規模なので、オーストラリアはサ。これで2択に絞れたので、あとは勘で行きましょう。(バングラデシュの都市はダッカしか知らないけれど、イタリアの都市はローマ、トリノ、ミラノと結構たくさん言えますものね)正解は3。
 

問五(やや易)

図と文を突き合せれば答えが分かる、ありがたい問題です。フィラデルフィアでは分かりやすいですが、明らかに貧困が問題となっている地区は主要道路に沿っていません。1~3の内容は結構大事です。正解は4。
 

問六(標準的)

まずはアジア系の多寡で答えを絞ります。アジア系は西海岸に多いから、2と3がシアトルかロサンゼルスです。ヒスパニックが多いのはフロリダのマイアミでしょう。近くの島から大勢やってきます。シアトルとロサンゼルスの判定もまたヒスパニックの多寡が手掛かりとなります。メキシコに近い南側のほうがヒスパニックは多いはずです。正解は2。
 

第四問(環太平洋地域の地誌)(やや難)

問一(やや難)

Aは太平洋プレートとフィリピン海プレートの間の海溝を突っ切っていますから、1。Dは水深が浅いので2。BとCは迷うところですが、「マウナケア山は海抜こそ4000mだが比高では10000mと世界一である」という話を知っていた」ので、この付近の海の深さは6000m程と考えBを4としました。途中で0m付近まで上がっているのは天皇火山列かミッドウェーではないでしょうか。Cは太平洋プレートとナスカプレートの間の広がる境界に位置し海嶺となっています。正解は4。
 

問二(標準的)

Fは冷帯を示しています。このような地域では伝統的には動物の毛皮を使った衣服を着るとされています。したがってイ。Gは年較差があまり大きくない、つまり低緯度であるにもかかわらず年平均気温は10度台です。この地点は標高が高いアンデス地域ではないかと考えられます。したがってア。Hは熱帯雨林気候を示しています。このような地域では通気性が大事です。―蒸れたら不快ですからね!したがってウです。正解は3。
 

問三(標準的)

肉類の供給が多いカはカナダです。日本は先進国の中では供給熱量が少ないので迷うところではありますが、比較対照はベトナムですし、魚も大豆もキのほうが多いからキを日本としてよいでしょう。正解は3。
 

問四(やや難)

 

基本的にそれぞれの地域からの距離や、どの国の領土かを考えていけばよいでしょう。グアムはアメリカの準州、ハワイはアメリカの州、フィジーはたしか独立国(後で調べたところイギリス連邦(コモンウェルス)に所属しているようです)、タヒチはフランスの海外領土です。ヨーロッパ人が地球を半周してわざわざ太平洋の島にやってくるのは多分大変なので、サで80%以上を占めるJがヨーロッパとは考えにくいでしょう。ただし、タヒチはフランス領だから、ヨーロッパ人が訪れるとしたらここだと思われます。したがってヨーロッパはKです。グアム、ハワイ、フィジーの中でグアムは最もアジアに近く、アジアからの観光客が多そうです。したがってグアムはサ。北アメリカからの観光客が多いシはハワイ、最後にオセアニアからの観光客が多いスがフィジーです。正解は2。

 

問五(やや難)

2019年の時点でどこともあまり貿易していないSはペルー、お互いに最も貿易が盛んなPQは米中間ですから、Rはオーストラリアです。ここでオーストラリアからの輸出を見ると、オーストラリアからQに対して多くのものを輸出しています。実は、中国は鉄鉱石や石炭などをオーストラリアから輸入しており、中国の輸入超過となるほどです。したがって、Pがアメリカ、Qが中国です。これを補強するように、1999年の時点では、QよりPのほうが盛んに貿易を行っている(経済がすでに発展している)ことがわかります。正解は2。

 

問六(標準的)

1、2は図7から読み取ることができます。3については、たしかに日本は米国をはじめとする国々に対し人工知能(AI)開発でおくれをとっている面がありますが、腐っても鯛といいますか、ソフトウェアや人工知能(AI)の開発に携わる企業が北アメリカに進出していないとは考えられません。正解は4。

 

第五問(島根県石見地方の地域調査)(易)

問一(易)

典型問題です。瀬戸内海に面する広島市は日照時間が長いア、内陸に位置し寒暖差が激しい三次市はイ、残ったウが浜田市です。正解は5。

 

問二(やや易)

ほぼ自地区で完結しているカは食料品、ほぼ県外や出雲地方に行っているキは娯楽・レジャー、その中間であるクは衣料品・身回品です。正解は6。

 

問三(標準的)

半径1km、3kmの円を地図上に書き込んでみるのもいいですが、人が集積していない地域ですから、人口のほとんどをカヴァーできるように多くのコンビニエンスストアがあっても採算はとれないでしょう。一方で、まちづくりセンターは公共の施設であり、その性質上市民全員に同等のサーヴィスを提供する必要があります。したがって、最寄りの施設まで3km以上というあまりにも不便な場所があるXがコンビニエンスストアです。また、全体的に面積が広いわりに施設の少なく、コンビニエンスストアに至っては一軒しかないbがシです。正解は4。

 

問四(易)

正解は2。道が狭く、モータリゼーションに対応しているとは言い難いです。また、写っている建物も古く、再開発がなされたともいえません。

 

問四(標準的)

日本史を履修した方にとっては易しかったかもしれません(当の日本史Bは劇的に難化したようですが...)。瀬戸内海沿岸の地域は四国山地と中国山地に挟まれ、降水が少ない(晴れの国おかやま、というフレーズは、一度は目にしたことがあるでしょう)ことから、かつて塩田が多く見られました。このことから、大阪から瀬戸内海を経由して北陸・東北・蝦夷地に向かう経路Jでは昆布というより塩が運ばれたと考えられます。また、資料1から、「石見焼が確認された地点」は、日本海沿岸に多く存在することがわかります。正解は3。

 

問五(易)

Pは3、Qは1、Rは4、Sは2があてはまります。正解は3。