その男は燃えていた。


 自身の内側から熱いものが滾ってくるのを感じ、それをどうにか表現したいと願っていた。


 しかし、男は自身の熱を表現する方法をまだ知らなかった。だけど今すぐどうにか形にしたくて願いのまま想いを馳せた。









 男は想像する。







 自身の祖父からもらった蜜柑の種をどの様に植えようか。

 大地と大宙から必要なエネルギーを全て与えてやりたかった。この小さな種が自分の力を全て発揮できるように、この小さな種に自身の愛と自身の内から湧き上がってくる情熱を全て注いでやりたかった。








 男は想う。







 この小さな種が大地から芽を出し、太陽の光を集めようと懸命に葉を広げているところを。









 「小さいながら力強く、その葉を広げているぞ」










 男は歓喜するだろう。再び自身の内から熱いものが湧き上がってくるのを感じ、衝動のまま雄叫びを上げて男は走り出すだろう。









 力強く大地を踏み鳴らし、自身の炎を舞へと昇華させてゆく。









 生命力溢れる男の躍動に、観る者全ての心臓が男の舞に合わせて力強く鼓動を刻み出す。









 男は想う。









 (小さな葉を観て、これ程力が溢れてくるのだから…………。その木が大きくなり、実をつけたらのなら…………自身の情熱と愛を注いで育てた果実を食べたのなら……………俺は一体どうなってしまうのだ?)











 男は自身の中に宇宙を感じた。







 程良い甘味と漲る酸味が男の口の中で弾ける。喉を潤し、瞳に力が灯り、その口元には弾ける酸味が笑みとなって浮かんでいる。







 全身の細胞に力が漲り、とてつもない生命力が彼を、男を若返らせるだろう。







 「皆にもこの果実を分け与えたい」







 男の願いは新たな形となって、雄叫びを上げて駆け出していく。
 









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