- 明日の記憶 (光文社文庫)/荻原 浩
- ¥650
- Amazon.co.jp
若年性アルツハイマーを取り扱った物語。
主人公は、広告代理店に営業部長として勤務する佐伯、
男性50歳。
ある日「ブツ」と頭で何かが切れるような音を聞く。
そして、すこしずつ記憶をうしなってゆく。
今を生きる事の大切さ・・・
なんだか、あったりまえのような言葉で、
気恥ずかしい気もするんですが。
そんな事を思いました。
読み始めた頃、仕事のトラブルが続いた後、でした。
気分は落ち込み気味で、今の仕事に疑問を持っていました。
「落ち込んでいる」というか、妙にマイナス思考になりまして、
なかなか抜け出せなかったんですよね。
そんな時の、1冊です。
主人公の仕事を続けたいのに、止めざるをえない。
そんな苦悩が描かれます。
周囲からどんどん取り残されてゆく自分。
悲しさ、怖さ、いつも付きまとう不安。
そんな状況でも、温かい言葉を与えてくれる仲間。
営業という仕事をしていると、
人に生かされているという事をしみじみ思うことがあります。
そのような感覚を、本書の中で佐伯部長の姿からヒシヒシと感じました。
物語は、派手な感じは無く淡々と進行してゆきます。
新規の仕事を勝ち取る
↓
不眠、めまい、頭痛が酷いので、病院へ行く
↓
若年性アルツハイマーと診断を受ける
↓
仕事をしながら、アルツハイマーと戦う
↓
娘(24歳)の結婚の段取り
↓
仕事をしながら、アルツハイマーと戦う
↓
会社には内緒にしていたアルツハイマーが発覚し
第一線の営業から外される
退職を進められるが、娘の結婚式までは・・・と言う希望で、
営業から別部署へ移動
↓
娘の結婚を期に退職
↓
娘の結婚
↓
娘の出産
↓
唯一の心のよりどころであった、陶芸教室で問題発生
↓
進行するアルツハイマー
・
・
・
佐伯部長の1人称の視点で、文章は綴られています。
読み進めるうちに、
「主人公がアルツハイマーなのに、最後はどんな風になってしまうんだ・・・」
と、気になっていきますが、そこは、しっかりとまとめられてゆきます。
読む人によって、受け止め方は変わるような気がしますが、
老若男女問わず、どの方向からでもいける内容だと思います。
後半は家庭的な場面が増えます。