子供も義務教育が終わり、半分大人、半分子供のような状態になった。

 

別で、去年から知り合いの子を預かり、仕事を教えるようになった。

大人しいが芯が強い。不器用だが弱音を吐かない。自分の道理を持つ珍しいタイプ。

 

好きにしていいと、頼まれたとき『どうしたものか』と思った。

本当の素人で何一つ知識もない。何かしたいのだろうが、何していいか分からない。

 

社交性、積極性があるなら恥を承知でグイグイするが、『下手をして邪魔したら迷惑になるかも』と思い、それももどかしくてできない。

昔世代の社員は、『ボケっと立って、やる気のないヤツだ。これだから最近のヤツは』と思っているが、自分が傍に連れているから言わない。それも気づいていた。

 

監督クラスに『何一つ分からない素人だ。雑用でもいいから説明してくれ』と言うと、苦笑いする。『説明か、時代の流れだな』と答える。

 

そう、時代の流れ。

昔ならありえない。説明する手間が無駄だ。雑用から覚えて、仕事を見て、覚えさせて、させてみて『こうじゃない。こうするんだ』と横で指導する。そして、それを頭と体に覚えさせる。それが経験だ。

説明して意味が分からないならまだしも、本来できる仕事の時間をストップさせてでも指導させて響かないのは無駄なことだ。

 

指導して一年が経つ。

それなりに経験を積んだ。それでも傍目にはまだジレンマもあるが、逆にここまで成長したとも思える。

 

『失敗するならこの数年だ。25までは恥になる失敗は許される』

よく言う。

『一直線の成長はない。ずっと低いところにいて、ガッと一気に成長する。失敗の経験をして活かせ。情けないなら何度でもしろ。でも、25歳を過ぎたら出来なくなる。

30歳を過ぎたらみじめなだけだ。現在がチャンスだ。現在しかないんだ』

二人しかいない昼飯に言う。何度でも言う。

 

『大卒でも大企業ならいい。でも普通ならまだ高卒がいい。それだけの経験が得られる。若いならそれだけ失敗もできる。失敗を逃げるな。どの仕事でも基礎を、仕事を流れを覚えれば一緒だ。現在の一年は将来の5年の価値はある』

 

自分は氷河期世代だ。自分よりも優秀な人間が腐るほどいた。それでも通用したのは、子供のころからの叩き込みかもしれない。SNSもない時代。だからこそ、時間も緩やかで、当時はブラックでも知る情報がないだけに、当たり前だと思っていた。

逆に、時間をかけて育て上げようとしたかもしれない。

 

昔は現在と違う。

即決の時代。人口と仕事の供給も自分と逆だ。仕事はいくらでもある。それでも昔もあった。それでも当時とは歴然の差がある。

 

それでも本質的には一緒だ。

上に上がろうとすれば、『成り上がってやる』という意思がいる。20代はいい。その差が出るのは30代になってから。最近、学生企業やら20代での起業も目に付く。

 

でもそれがずっと続くのかは疑問だ。現在は最前線にいても、10年経てば時代遅れ。

 

それでも生き残っていくのは、結局苦労して基礎を身に着けたからこそ。

z世代、氷河期世代、バブル世代いろいろある。いろんな世代ギャップでも大事なのは何も変わらないと思うけどな。