前回の投稿時は、まだ高校野球やってたんですね。長いお盆休みをいただきました。

すぐ夏バテ休みと秋休みです（予防線）

さて、先週の新聞一面に「基礎年金底上げ　厚生年金の積立金を使う案」という記事がありました。

公的年金の将来の目減りを抑えるため、本格的に検討を始めたそうです。

今後の社会が過去30年と同じくらいに働く人数や賃金上昇のペースが鈍い場合には、所得代替率が現在の61.2%から33年後には50.4%まで低下する試算が出されています。

※所得代替率：公的年金を標準的に受給し始める65歳時点のモデル年金額（額面）が、その時点の男性現役世代の平均手取り収入（賞与込）と比較して、どの程度の割合か示すもの

特に基礎年金の落ち込みが大きいので、少し前に保険料の納付期間を65歳まで延ばす案が出ましたが早々に引っ込めて、厚生年金からもらおうとしているわけです。

このような年金のややこしい話をここで解説するつもりはありません。だって、深すぎて広すぎてキリがなくてよく分かりません！（いばるな）

ただ所得代替率で気になったことが。

モデル年金額は「額面」で、現役世代の収入は「手取り」です。つまり「分母」が手取りで「分子」が額面😮

なんでどちらかに揃えないの？

年金を多く見せようとしているように勘繰るのは私だけではないでしょう🤔

で、理由を調べるうちにこんなものを見つけたので今日はそのご紹介です。ちょっと長くなりますけど。

衆議院質問答弁情報

平成28年11月28日提出

「年金制度の所得代替率に関する質問主意書」

質問者：長妻　昭

当時の安倍内閣への質問です。いくつかを答弁と一緒に簡略にご紹介します。

①質問

以前、厚労大臣は所得代替率50%について「最低限の生活が保障できる水準を確保する」と発言したが、「最低限の生活が保障できる」とはどのような意味か。

①答弁

当時の高齢夫婦世帯の基礎的消費支出（家計調査における消費支出のうち、食料、住居、光熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物に係るものの合計）を十分賄える状況にあること等を踏まえている。また、年金の給付水準の決定には長期的な給付と負担の均衡の確保が前提となることから、老齢基礎年金の額は基礎的消費支出を全て賄うという考え方で設定されているものではない。

②質問

所得代替率は厚生年金を含めた専業主婦世帯のモデル年金を使っており、基礎年金だけの受給者には所得代替率（下限）が無い認識だが事実か。

②答弁

モデル年金の基礎年金部分だけを用いた所得代替率を（法的に）作るつもりはない。その上で、これまでも基礎年金部分の所得代替率は提示するなどの工夫をしている。

③質問

現在のモデル世帯の所得代替率は分母は現役世代の平均手取り賃金で、分子は年金受給額の額面である。分子分母とも手取り額あるいは、額面に揃えることが国民の生活実感に近づくと考えるがいかがか。また、「所得代替率をどのように定義するかは次期財政検証に向けて引き続き議論をしていくべき課題かなと思う」と大臣は答弁されているか、このことも含めた検討なのか質問する。

③答弁

モデル世帯の所得代替率については、指標としての継続性、過去との比較も容易であること等の観点も踏まえて、現在のところ、今の形でお示しすることが適切と考えている。

ここにはけっこう大事なことが書かれています↓

年金の給付水準は、厚生年金を含むモデル年金世帯なら基礎的消費支出を十分賄えるが、老齢基礎年金はそのような考え方で設定されていない。

つまり、基礎年金だけでは元々最低限の生活は出来ない前提ですよ、ということです。話には聞いてましたが、例えばこんな答弁で踏襲されていたんですね。

しかも上記の「基礎的消費支出」には医療費や車・交通費、交際費、趣味娯楽、貯蓄などが入っていないようですから、厚生年金があってもギリギリの生活…いや、できないかもしれない。

②では、老齢基礎年金だけの所得代替率を作るつもりはないと答えていますが、今年度の年金額改定時に新たにモデル年金を世帯パターン別に20以上作ると表明しているので、所得代替率のパターンも増えるかもしれません。

③では、私と同じ疑問をぶつけていますが、正面から答えていません。

「だって、今までこれで作ってきたから分母分子を変えると比較できなくなるから」だそうです。そこじゃない。

このあと、どこかで回答が変遷しているのかもしれませんが、そこまで追い掛けて検証していません💦のでご容赦を。

いずれにしろ、「年金だけじゃ生活できない、何とかしろ！」というのは最初からそんな設計ではないので…単なる思い込みということなんですね。あぁ

将来的な年金の水準低減は覚悟した上で、しかも手取りと額面を比較している「上げ底」であることも考えると、自助努力が一層必要になるということでしょう。

あまり楽しくない終わり方で失礼しました。

ではまた。

所得代替率のアレコレ