キス。


って。


好きじゃなくてもできる。



好きだからキスはするけれど
キスしてるから好きとも限らない。


何の感情も湧かないキスをしてる時
嬉しそうな相手の表情を見て

このひと恋してるんだ わたしに

いいな

幸せそうで


なんて。


羨望を抱いたけれど。

わたしのその感情は残酷で。





でもあの子は
わたしと同じような感情であのひととキスをしていて欲しい。



残酷でいいから
ただ流されただけだと言って欲しい。



フィクションはどっち?



あの子の気持ちはあの子にしかわからないし
彼女が知っていればそれでいいけれど。



キスは。


好きじゃなくてもできるから。


でも


好きだからキスをするから。




*  *  *  *  *



いままでの人生で

いちばん幸せを感じたキスをした相手が

いまわたしが好きなひとではないのだけれど。



いまわたしが好きなひとが

いちばん幸せを感じたキスをした相手が

わたしじゃなかったら かなしい。



わがまま。



だけどもう、今ごろわたし以外の誰かと幸せなキスをしているかもしれない。



いいな。



好きなひとの幸せを祈れるひとになりたい。



祈れるけれど見たくはないのが正解。



ねえ。



わたしは、あれから、好きでもないひとと夜道でキスをしたよ。



この事実は絶対に知られたくないから
きっと言うことはないけれど



好きでもないひとと、キスなんてしないでね。



わたしみたいに。

わたしみたいな感情で。





この時みたいに幸せでありますように。