白血病のことを

必死で訴えている夢を見た


大学の古い小講義室で

一般の人々を前に



 きちんと働かない細胞が増殖し

 血液のほとんどを占めてしまうんです


 そのため血液のがんと言われていて…



手に食い込むほどチョークを握って

白血球、赤血球…と殴り書きしていく


ほぉー…と声を漏らしながら

こちらを見ている眼は

どれもキョトンとしていて

遠い世界の話を聞かされている様子だった



1番前の年配の男性が

手を挙げて中腰になって言った


「あのー…

 なんで『白血病』って言うんかの?」



 その昔、ある学者が

 白血病患者の血液が白っぽくなるのを見て…



どこで読んだ記事だったろう

根拠があるかわからないのに

血液が遠心分離した試験管の図を

ガガガッと黒板に描いて

ハッとした


『白血病患者』とか

第三者みたいに言った自分がイヤで

眉をしかめたら


講義室の端で

同じ病気のご家族を持つ方が

 大丈夫、落ち着いて

物語るような

穏やかな目でこちらを見てくれていて




汗だくで

目が覚めた





あぁ 夢だった





今日から


3学期が始まる






※※※※※


我が子は

2017.1.2に白血病を告知された



2016.12.31

最近ダラダラしてるから走っておいでと

無理やり外を一緒に走らせて


2017.1.1

お正月から怒りまくって

硬筆の宿題を何回も何回も書き直しさせて


我が子の体が

白血病細胞でいっぱいだったなんて

微塵も思ってなかった



そんな風に怒るのは当たり前で


3学期が来るのが当たり前だった




新学期は

雪の中をどんな格好で登校させればよいか

心配でしょうがなかった


長子は何もかもが初めてで

ジャンパーひとつとっても

母には一大事


ロングコートは女の子用ばかり

男の子って…?

そうだ、ベンチコートがいいのかな、と


まだお腹にいた妹Aちゃんの定期検診

病院の待合室で

長い待ち時間を利用して

スマホでコートを探していたのを覚えている


座るところも無いほど混んでいて

窓際の少し腰掛けられるところに

膝掛けを敷いて座って

それでもおしりがヒヤリと冷たかったこととか

そこでコートをポチりとしたことまで

覚えている



届いたコートをSちゃんに着せたら

袖を2回折っても大きかったけど

きっと

来年、再来年の冬は

ピッタリになってるだろう


これで新学期は安心と

ハンガーにかけて準備して置いたコートは



6年間

着られることなく

待ちぼうけをくらってしまった






※※※※※


袖が折ったままになっていたコートは

Yくんにはさほど大きくもなく

びっくり…



「あったかーい」



冷たい小雨が降っていたけど

パッとコートを着て飛び出して

登校の列に混じってしまった



Yくんの新学期が始まった



私にとっても

人生で初めて迎える



我が子の3学期





冬休みの硬筆

院内学級の恩師が病室で仕上げてくれた時間を想い

怒るより盛り上げ役に徹した今回

Yくん、達成感に満ちてました