「おかあさん、
空にでっかいソフトクリームがあるよー」

お昼ご飯を一生懸命食べた我が子は、
ぐったりして横になりながら言った。

我が子はこの2日、よく
「疲れた」
と言う。
ベッドの上からほとんど動いていない。
「ご飯食べるので疲れちゃった?」
と聞くと、うん、と。

この前、胸が痛いと初めて言った。
主人と交替していたので直接様子は見れていないが、冷や汗をかいていたらしい。

怖くて、どんな感じだった⁈と何回も聞いてしまう。

「胸の辺りが痛くて、酸素してって言ったの。
 ぼく、授賞式の前の日に熱が出た時あったでしょ。
熱は下がったけど、実は授賞式の日辛かったんだ。
でもその時の辛さとは違うの。」

さすが、10歳。
よくわかる説明にお母さん感謝します。

授賞式は移植後2か月の時で、ちょうど外出ができそうな時期だった。
逆に目標にし、主治医の先生、看護師さん、リハビリの先生みんなで出席に向けて調整してくれた。
本人もすごく張り切っていたのに前日に熱が出たという…泣きそうやったわ。ほんと。

アセリオで朝には下がったので出席できたのだが。

なんだよ、実は辛かったんか、
知らんかったなー…。

その後も、
ベッドの背もたれ無しで遊んでいると疲れたり、
ご飯を食べただけで疲れたり、
誕生会の時、はしゃぐと疲れたり…

白血病の治療中や、
移植の時に辛い事いっぱいあったけど、

「こんな事今までなかった。」

と言った。

お薬を始められて、わりと安定しており、
心のほんの片隅にはこのまま治るんじゃないかと思ってしまってたりしたので、
やっぱり心臓弱ってるんだ…
と実感した。





夜、誕生日にもらったいっぱいのおもちゃを仕方なさそうに片付け、我が子はうーんと背伸びをしてベッドに横になる。

「前のお部屋に居た時は、
寝る時心臓の音が聞こえたのに、
このお部屋になってからは聞こえないなぁ。」

⁇どゆこと⁇

最近病室を移動した。
どちらも二枚扉で、外の音が聞こえない、とても静かな部屋だ。
うるさくて聞こえない訳ではない。

え?苦しいって事⁈苦しくないって事⁈
心臓の音が聞こえるって今まであったんかな⁈

「心臓で入院してからだよ。
今まではそんな事なかった。」

前の病室にいた頃はまだβ遮断薬が始められていなかった時も含んでいるので、寝ていても心拍が100以上だった。
今は就寝時やっと70台にまで落ちついてきたので、それを体感しているという事なんだろうか。

大丈夫、が口癖の我が子。

イヤ、嫌い、を言うのが苦手な我が子。

ぽろっ、ぽろっ、と、伝えてくれる体の変化に耳を澄ませて、
豊かになっていく表現力の変化も見逃さず、
今日も我が子と一緒に過ごしていこうと思う母ちゃんなのであった。