「生涯、忘れまいぞ」 ②
炎天下である。東京大会にも参加した婦人部の福住ふさゑは「(午前中)赤レンガの裁判所のまわりを、ぐるぐると何度回ったことか」と書き残している。
「朝から照りつける太陽が真夏を思わせ・・・・・『この暑さで先生はどれほどお疲れになっていることか』と思っただけで、泣けて泣けて仕方ありませんでした。ノドはカラカラに渇き、角のパン屋で牛乳を買って飲もうとしましたが、胸につかえて飲めません」。
そのパン屋の店主は福住に「長い間ここで商売をしているけれども、こんなにたくさんの出迎えは見たことないわ」と言い、誰が釈放されるのか尋ねた。
「この時ばかりとおじいさんに話しました。一人でも多くの人に池田先生の無実を知ってほしかったのです」(福住の手記)。
日盛りの道を、人々の波が埋めていく。
「まだかまだかと背伸びしたり、そばにあった石の上に乗ったりしていました」(北側照枝)。
「正午過ぎ、大阪拘置所の鉄の扉が開きました。池田先生の奥様は一番前で待っていらっしゃいました。本当にご心配だったと思いますが、明るく振る舞っておられました。素早く先生に駆け寄った奥様の後ろ姿が、いつまでも印象に残っています」と北側は回想する。