「入った者でないとわからないんだ」 ①
鈎せつ子は1957年(昭和32年)7月3日の夜、地区の地区部長から池田の逮捕を聞いた。
「その瞬間、何が何だかわからず、しばらく声にもならず・・・・・心の中で”そんなことはない、そんなことはない”と否定しながら、部員さんの家に走ったことを覚えております」「まるで枯葉に日がついたように、怒りが組織のすみずみまで浸透していきました」(鈎の手記)。
差し入れを続けた矢追久子は毎日、気が気ではなかった。
「戻された容器を開いてみては、残っていると、食欲がおありにならないのだろうかと案じ、全部平らげてくださっていると、足りなかったのではと、わが身を責めるのでした」(矢追の手記)。
池田の逮捕を誰よりも怒っている男は東京にいた。言うまでもなく、戸田城聖である。