「分子整合栄養医学」(栄養療法)での治療は、以下の項目で進められます。
(1)病歴の詳細な把握(治療歴・投薬歴)
(2)血液検査データの解釈
①糖質・脂質・タンパク質の代謝の把握
②ビタミン・ミネラルの必要量の把握
③5時間糖負荷検査などの追加検査
④症状改善に有効な栄養素の投与
⑤食事指導
(3)症状の変化と検査結果に基づく栄養アプローチの評価
血液検査は、患者さんによって、3ヶ月毎、6ヶ月毎に必要に応じて行われます。
「5時間糖負荷検査」は、空腹時に、ブドウ糖入りの検査用ジュースを飲み、5時間かけて血糖値とインスリンを測定します。測定した血糖値をグラフにして、血糖曲線の変化によって、どんな栄養素が不足しているかを調べます。
〔事例1〕A子さん 23歳
[A子さんの症状]
中学生の人間関係といじめに苦しんでいました。高校に入学した頃から、落ち着きがなくなり、音にたいして非常に敏感になる症状が始まった。18歳頃から、テレビやラジオなどの音や音楽などと自分がつながっている感覚が起こるようになり、幻聴が聞こえ始め、いつも誰かに指令をされる声があり、皮膚にビリビリとした感覚を感じるようになりました。
[A子さんの病名と経過]
19歳の時に「統合失調症」と診断され、投薬を開始。幻聴や幻覚などは少し改善したものの、薬の種類と量が増え、7種類で14錠を服用するようになる。体がだるく、にきびなどを生じる。
21歳の時、1年間に20キロの体重増加があり、皮膚のトラブルも激しいため、自分の判断で服薬を中止。その半年後幻聴や幻覚が再燃してきたため、再度精神科を受診し、投薬治療が再開されていた。
リスパダール1mg 1錠3回 ソラナックス0,4mg 1錠3回
コントミン25mg 1錠 寝る前 アキネトン 1錠3回
ジョプレキサ 5mg1錠 寝る前 ロヒプノール 2mg 寝る前
食事の特徴
ほとんど肉を食べない。ご飯やパンをよく食べる。ペットボトルのミルクティーや清涼飲料をよく飲む。お腹が空くとスナック菓子などをよく食べる。夜中に空腹でよく目が覚める。
「A子さんに対する治療」
血糖値を急激に上げる食品の禁止。ジュース、清涼飲料、スナック菓子、甘い物、砂糖、白米、ラーメン、白いパンの禁止。1回の食事の量を減らし、食事を3回~5回に分けた。たんぱく質の量の摂取を充分に行い、食後の散歩を指導した。
「使用した栄養素(サプリメント)」
ビタミンB群、ナイアシン、ビタミンC、必須アミノ酸、プロテイン
「7ヵ月後の結果」総蛋白や総コレステロールの変化から、総合的な栄養状態が改善。タンパク質やアミノ酸の代謝が、ビタミンB群の摂取で改善により、尿素窒素、ALT,AST(肝機能)が改善。
「A子さんの自覚症状の変化」
○幻聴や異常な感覚が、まったくなくなった。
○毎朝決まった時間に起きることができた。
○いろいろなことをやりたい意欲が出てきて、医療事務の専門学校に通い始めた。
○皮膚の状態がとてもよい。
○体重が8キロ減って、身体が軽い。
○時々甘い物を食べたくなるのは辛い。
○薬は1種類の最低量になっている。自分ではもういらないと思うが、念のため服用している。
『総括』統合失調症と診断された方の多くに、血糖調節の異常を伴っていることが多く、甘い物を欲しがり、夜中や夕方に炭水化物や糖分を摂取しなくてはならない症状を伴うことが特徴です。
これらの症状は血糖値を調節する機能の破綻によるものです。