後年、「人間革命」の執筆を開始した小さな質素な部屋を訪れた、南アフリカの詩人
ムチャーリ氏は、しみじみと語られた。
「大いなる仕事は、いつも小さなところから始まります」
”千里の道も一歩から”だ。その一歩をおろそかにして、遥かな希望の旅路を勝利することはできない。
我らが掲げる平和の大道である「人間革命」もまた、1人との誠実な対から始まる。それは、対話によって自分自身も、縁する人も変えていく戦いである。
小さな殻を打ち破り、無慈悲なエゴの壁を乗り越えながら、善縁を結び広げていく行動である。
勇気をもって人と会い、誠意をもって人と語ることこそが、最も確実な「人間革命」の第一歩なのである。
待っているだけでは対話は始まらない。歩み寄り、声をかけていくことだ。
香港SGI(創価学会インターナショナル)の総合文化センターは、輝く海を望み、天然の屏風の如き山々に抱かれた景勝の天地にある。
その入り口のすぐ側に、年配のご婦人が住んでおられた。私が青年たちと散策に出る時など、よく顔を合わせた。
「いつも、大変にお世話になります。何か、ご迷惑をおかけしていないでしょうか。騒がしくて申し訳ないですね」
私と妻が挨拶を申し上げると、そのご婦人は「いいえ、賑やかな方が好きですから」と笑顔で応じてくださった。
開館から13年、地域から親しまれ、香港社会から愛される総合文化センターとして歴史を刻んでいる。
ささやかな出会いであっても、そこに縁を見出す。それが仏法の眼である。
わが創価の世界には、最も美しく、最も正しい人間の声が響いている。それゆえに、いかなる邪悪な陰謀にも断じて負けないのだ。
私と対談集を発刊したブラジルの大天文学者モウラン博士は、父君の教えを大切にされていた。
「人間の考えは、たとえ今がどうあれ、それが最後まで変わらないということはない。
偏見は必ず、時とともに変えることができる」と。
博士は、その偏見を変えていく方途こそ「対話の道」であると結論された。
そして、「世界に展開される創価の『対話』は、決して音を立てておおげさにする対話ではなく、静かなる対話の流れ、川の流れのような、弛みなき対話の流れであると思います」と語ってくださっている。
人々の頭の上を飛び去っていくような絶叫は必要ない。川の流れのように、1人また1人と心に染み入る対話を続けていくのだ。
対話こそ、わが人生ー
この対話の道が、麗しき人間共和の大道へと開かれゆくと信じて!