金曜日。
会社を定時に出た。
今日は、パンクのシフトは5時から。
水曜日の夜に、ステファニーとMちゃんとで、私のうちでご飯食べて以来、ずっとモヤモヤしてた。。
私の勘違い。
パンクとステファニーのタンデムは、全くの誤解だった。
月曜日の朝、パンクは駅で私を待ち伏せしてた。
ちゃんと説明しようとしたんだろう。
私は無視して通り過ぎざま、肩越しに中指まで突き立てた。
私って最低かも。
この日も朝からずっとモヤモヤしてた。
パンクに会いに行くべきか、どうか。
朝の通勤電車の中でも。
こんなんじゃ仕事が出来ないと思って、帰るときに決めようって、頭の隅にむりやり追いやった。
それで、帰りの電車。
まだ、決断できず、とうとう地元の駅まで。
行かないよって自分に言い聞かせながらも、遠回りせずコンビニの道。
もう数十メーターのところまで。
コンビニの駐車場。
あいつのスクーターがあった。
"Whatever happens happens."(なるようになれ) 心の中でそうつぶやて、コンビニの入り口に向かった。
コンビニに入ると、真っ先にあいつは私に気付いたようだった。
私はあいつを見ないまま、お弁当コーナーに行った。
何を買ったか覚えてない。
おにぎりとサラダだと思う。
適当につかんで、レジに向かった。
「俺がやります!」って言いながら、あいつが走ってレジに来て、シフトのおばちゃんを制止した。
あいつは黙ってレジをした。
「ZRXは?」私は聞いた。
Kawasaki ZRX1200R あいつのバイク。
「え?」 びっくりしたような声。
私に話しかけられたからびっくりしたのか、バイクの事を聞かれたからびっくりしたのか、わからない。
「ZRXで来てないの?」
あいつの目を見ることができない。
下を見て私は言った。
「う、うん。 もう売ることにしたんだよ。」
淋しそうな声。
「そう。」
私はお釣りを受け取って、出口に向かった。 顔を見ることは最後までできなかった。 私は、嫌な奴かもしれない。
なんか他に言うことないかなって思ったけど、これが精一杯だった。
店を出た。
あいつが、すぐに出て来た。
「エイコ!」
私も、今度は立ち止まって振り向いた。
「今度 単車買ったら、お前しか乗せないから。 約束するから!」
あいつが真面目な顔で言った。
ちょっと考えた。
あいつが本当に愛車のZRXを売って、新しいバイクを買うのかどうかは知らない。
でも、もし、あのバイクを売るなら、あいつが次に乗るのは、Z900RSしか考えられない。 そう思った。
「私、900RSがいい。」
やっとあいつの顔を見て、言えた。
「なに?」
あいつが聞いた。
「Z900RSのイエローボールがいい。」
「わかった!」
あいつが、笑顔で返してきた。
「じゃあね。」
私はやっと微笑んで、彼に言った。
「ああ!」
あいつは、右手を軽くあげた。
その晩、LINEであいつのブロックを解除した。