第3回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が札幌の京王プラザホテルで開催されました。
私は一次再建の合併症について発表してきました!!

2007年4月の当院開院から2015年3月までの8年間で全乳がん手術件数は2788件。そのうち一次乳房再建を行ったのは203例(209乳房)で乳房切除後の乳房一次再建率は12.6%した。

去年に限って言えば、乳がん手術件数501件、乳房一次再建数は70件で一次再建率は30.3%でした。

合併症は、自家組織再建で7.7%、人工物(ティッシュエキスパンダーとシリコンインプラント)で8.8%でした。

一般的には人工物の方が合併症が多いという報告が多いのですが、当院では有意差はありませんでした。

合併症の詳細は自家組織は皮弁の部分壊死などで、皮弁の全壊死はありませんでした。
人工物はエキスパンダーの露出や創縁の壊死や以前使っていた旧型のエキスパンダーの不具合などで、10例がエキスパンダーを抜去しましたが、そのうち1例は人工物で再建を完遂し、5例は自家組織で再建を完遂し、再建を断念したのは4例で乳房再建の完遂率は98%でした。

合併症率の報告は施設間でかなり差がありますが、まあまあな数字ですかね‥…

乳房再建の完遂率は海外の文献だと6-7割だったりするし、国内の他施設と比べてもかなり高いと思います。

術中迅速診断でセンチネルリンパ節転移が陽性だったらエキスパンダーを挿入しない施設が多いなかで、当院では(ガイドラインの範囲内ならば)特に制限なく行っており、胸壁照射が必要であると前もって分かっていても再建をしてます。

一般的には胸壁照射例で合併症率はかなり上がると言われているのですが、当院では胸壁照射をした20例において合併症率に有意差はなく、これは、人工物の場合はなるべくシリコンインプラントに入れ換えた後に胸壁照射を行っているからと思われます‥…しかし、照射例では短期合併症が少なくても被膜拘縮などの長期合併症は必発です。

それでも、例え硬い乳房でも、まっ平らな胸よりはいいと思うんです。

リスクを減らす手段を取ることも大事ですが、なるべく沢山の方にHappyになってもらいたい‥…キラキラ

今後もさらに研鑽を重ね、なるべく合併症を減らしつつ、希望する多くの方に安全に乳房再建ができたらいいな晴れと思いましたI