今日は、2つ目のご質問について、考えたいと思います。


2再建が可能な症状タイプというのでしょうか?
または逆に、出来ない症状や場所、タイプ等 ございましたら 教えていただきたいです。


乳房切除の場合のご質問だと思います。


 乳がんが単発で乳輪乳頭から距離があり腫瘍径が小さい場合には、まずは、温存手術を考えていいと思うのですが、乳房が小さい場合など、温存手術で整容性が保たれなさそうな場合や放射線照射を希望されない場合には乳房切除術+再建を考えてもいいと思います。

 また、若年者では、温存手術による再発率が高いため、乳房切除+再建を行った方がいいとの報告もあります。遺伝性乳がんが疑われる場合も、温存手術はあまり行わないほうがいいとの意見もあります。


 乳房再建の適応については、施設間にばらつきがあり、乳がんの手術件数の多い施設の中には、StageⅡ以下としている施設もあります。腋窩のリンパ節転移が1つでもあったら再建しない施設もあります。


 当院では、特に決めてはいないので、患者様のご希望があれば、StageⅣ(遠隔転移のある場合)でも乳房再建を行うこともあります。ただし、全身状態が安定していて患者様に病識があり、ご自分の状況をよく理解されたうえで、乳房再建を強く希望された場合のみとしています。


 ただし、保険で認可されている人工物(ティッシュエキスパンダーやシリコンインプラント)による再建は術前診断でStageⅡ以下でないとできないので、術前診断で腋窩リンパ節に4個以上転移がありそうな場合や、鎖骨下・鎖骨上、胸骨傍リンパ節転移がある場合、腫瘍径が5cm以上ある場合、皮膚浸潤のある場合などは、人工物による乳房再建は行えません。


 当院では、StageⅢ以上の症例では、自家組織による乳房再建を行っています。

 また、術後に放射線照射が必要と思われる症例(腫瘍径が大きい場合や腋窩リンパ節に複数個転移がある場合)では自家組織をおすすめしています。


 乳癌のタイプ(ホルモン受容体やHER2など)によって、再建できるかどうかはあまり関係ありません。


 乳癌の場所によって、再建できないということはありませんが、再建の仕上がり(整容性)は多少は変わるかもしれません。


 当院では、患者様に乳房再建の希望があれば、なるべく、ご希望に沿うように行いたいと思っています。