今野 敏(こんの びん)氏の小説である。
本書は、大東流柔術の中興の祖、武田惣角の半生を題材にした小説である。
大東流柔術は、合気道の元になった柔術であり、
武田惣角自身が様々な修行から、自身で編み出したという説もある。
本書はかなり面白い。
おそらく史実とされている武田惣角が、50人の人夫を相手にして、すべて倒した、という説話などが、
本書にも書かれてある。
武田惣角は、ほぼ、その生涯を流浪して、道場を持たず、
全国を行脚して、野試合やストリートファイトを行ない、生涯無敗、
多くの弟子を取った。
伝説の真偽は、当然私には分かるべくもないが、
まったくもって、武を体現した傑出した達人であり、最後の武士の世代である。
本書は小説であるが、作者の今野氏も、自身で武術道場を持つほどの人で、
伝説の武人である武田惣角に対する敬愛に満ちている、いい小説である。
ただし、本書を読んで、武田惣角の、現代の平和な社会から見れば、
熾烈な武術への態度を伺いしれ、
私などは、ただのフニャフニャした、固太りの中年に過ぎないということを(笑)
大いに実感しました。(^^;;
無論、そこら辺のおっさんである私と、武田惣角みたいな日本柔術史上最強?説を唱えられてる達人と、
比較しても何もならない。
武への心構えが全く違うということだけは、分かったような....f^_^;)
私の武術への取り組みなど、ただのお遊びだということは、よく分かりました(笑)
自分ではそうじゃないと思っていたが、やはりただの遊びレベルだったようだ。
武田惣角には、信じられないような逸話が多い。
武術は、それを成したり、それを実現する武人の生き様のなかにあるのだなぁ~と、
そう感じました。
武田惣角の写真は、何枚か残っている。
クリクリお目々の、丸顔の小さいジイさんだ。
160センチもないと言われている。
一応、武を学ぶモノとしては、日本武術史上で、誇りたい方だ。
惜しみらくは、武田惣角は、文章を書いたりできなかったようで、
合気を実際に使えたのは、武田惣角とあと数人だけだといわれている点だ。
武術を伝える人は、できるだけ、何か残して欲しいものだ。
自分と他に数人しか、奥義が使えない武術を伝えても、あんまり意味がない気がする。