アキレスと亀 | 書道家 柳永環のブログ

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北野武監督の『アキレスと亀』という映画がある。

あまり知られていないかもしれないが、私がとても好きな映画の一つだ。

 

芸術家になるという夢に取り憑かれた男の話なのだが、

夢の実現のために人間としてのバランス感覚が大幅に欠落している。

 

私は常々、人間が幸せを感じながら生きるためにバランス感覚はとても重要だと思っている。

しかし、芸術家たるものそのバランス感覚すらも常人とは違うものを持っていないといけないのかもしれない。

 

一人娘の死ですら芸術に変えてしまおうとする主人公には閉口するが、

世の中には売れない芸術家ほど気が狂っているような人が多いのかもしれない。

 

芸術家は常軌を逸しながら絶妙なるバランスで荒波を航海する術を身につけないといけないだ。

 

それは作品でも同じだ。

絶妙なるバランス感覚を保ちつつ常軌を逸した作品に触れた時、人は感動するのだと思う。