視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった―。書き下ろし小説。(「BOOK」データベースより)
【感想】
初めての乙一作品。カバーからはホラー臭がプンプンしたが、まったくそんな要素はなかった。
視覚障害のミチルと電車の線路に人を突き落としたとして容疑者となったアキヒロ、
孤独に生きてきた二人の出会いと成長を描いた作品。
他人とのコミュニケーションを極端に避け、暗闇の中を一人で生きてきた二人が出会った。
視覚障害で外出することを恐れ、家でじっと死を待つ様な生き方をするミチル。
アキヒロとの同棲により、かつて父と暮らした日々を思い出し、一人で生きていこうとした
自身の弱さを認め、徐々に心を開いていく。
人とコミュニケーションをとろうとすると少なからず嫌な思いもしてしまう。
それを避けていては成長することはできない。
何故なら人は他人を見て自分を見つめ直す生き物だと思うから。
成長することができないと、自信の存在価値、果ては生きる意味を見失うことになるのだろう。
