10月25日、ノルウェーのストレー外相は、不発弾が市民に被害をもたらすクラスター爆弾について、禁止条約締結を目指す「オスロ・プロセス」を80カ国以上が支持していることを明らかにした。
 さらに、ノルウェーなどと非政府組織(NGO)が呼びかけ、オスロで会議を開き、来年中の禁止条約締結をうたう「オスロ宣言」を採択した際、支持が46カ国だったことがわかった。しかし、オスロ・プロセスには、米露中が参加していない。


 10月30日には、クラスター爆弾の禁止条約の策定を目指す「オスロ・プロセス」の欧州地域会議が開かれ、50カ国が参加した。
 その会議で、ドイツが1個あたりの爆弾廃棄費用が、最高7万ユーロ(約1100万円)もするとの未公開情報を開示し、今後、爆弾の廃棄コストを引き下げるため、各国が廃棄を請け負う業者に共同発注するなど協力を進めることで一致した。さらに、ドイツは09年を目標に旧式爆弾4種類を廃棄する計画で、専門家が親爆弾1個あたりの廃棄費用が、40~7万ユーロと、種類ごとに大きく異なると指摘。しかも、一部の爆弾は、維持費が年50万ユーロ(約8000万円)に上るという。


 廃棄を請け負う企業は、欧州では約10社と少ないこともあり、コスト引き下げに各国が協調することでほぼ一致した。そして、非政府機関が06~07年の調査結果として、被害者の98%が一般市民だと報告。条約策定で被害者の救済条項を設けることを確認した。
 さらに、この会議では、米国が初めてオブザーバーとして参加し、被害者への人道的援助の必要性などに理解を示した。


 11月13日、非人道的な兵器の規制を議論する「特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)」締約国会議が閉幕した。
 その結果、条約交渉に期限を定めることに難色を示す国が次々と出ているほか、規制を骨抜きにしようとする動きもあり、条約制定につながる合意は困難との見方が強まっている。
・パキスタンは、条約交渉の期限を設定しないこと、すべての加盟国に「相当の配慮」をすることを交渉入りの基本原則にすべきだと主張(米露中やインド、韓国といった規制に消極的な主要国と共通する意見とみられる)。
・中国は、禁止を求める国際世論が強いから交渉入りに反対する国はないだろうが、期限は受け入れられないと主張。
・韓国は、期限を決めるなというのは、結局、条約を作る気などないということだと。
・米国は、(クラスター爆弾という)特定の兵器を禁止しようというのではない。問題は、どのように兵器が使われるかということだ。
・ノルウェーは、積極的な発言を控えている。
・ロシアは、各国同様、クラスター爆弾の人道被害に対処する必要性には同意したものの「交渉入りは時期尚早」。各国との非公式協議などで「交渉」ではなく、「議論を深める」ことを来年の課題として合意すべきだと、強硬な反対で交渉入りに合意できないと主張。


 「来年11月までに条約交渉を妥結させる」とのEUの提案に対し、同爆弾の規制に消極的な米中、パキスタンは、交渉入り自体は容認する構えだが、長期化を狙って「期限の設定」に反対する姿勢を示している。


 会議の結果、「人道被害に対処する提言の交渉を始める」とのあいまいな文言を盛り込んだ合意文書を採択した。これは、「条約交渉」との文言は入らず、交渉期限も設けられないまま、合意文書の提言の中身は不明確で、「各国が自由に解釈できる」という。
 これに対し、オスロ・プロセスを進めるNGO・クラスター爆弾連合は、合意文書について「法的拘束力はなく、期限もない。問題の解決にはならず、CCWで禁止条約を作れないことが明確になった」と批判した。


 CCWは国連に事務局を置き、クラスター爆弾の大量保有国である米露中を含む103ヶ国が加盟している。


 オスロ・プロセスは、来月にウィーンで会議を開いて条約の大枠を議論し、2月と5月の会議で内容を詰め、来年中の締結を目指す。現在80カ国以上が支持を表明しており、97年の対人地雷禁止条約と同様、米露など禁止に消極的な国を除き、有志国で条約を締結する公算が大きくなっている。


 使用国が紛争後も同爆弾を使った場所や数量を被害国側に伝えず、不発弾除去が手間取って人道被害を大きくしている現状と、使用国は除去作業にはかかわらず、費用も負担してこなかったこともあり、クラスター爆弾を使った国が不発弾除去に責任を持つよう明記した条項が、「オスロ・プロセス」の条約案に入ることを、12月にウィーンで開かれる会議で提案される。
 同案は全22条で、同爆弾を他国領で使用したことのある国に、不発弾除去に協力する責任がある点を明記した。また除去作業への支援と必要な情報提供を求める項目も追加された。


 クラスター爆弾問題は、使用反対派と賛成派のグループが分かれる形で、厳しい見通しである。地雷のような広まり方をするのだろうか。使用の仕方の問題だけなのだろうか。



<資料>
・毎日新聞 2007年10月26日 『STOPクラスター ノルウェー ストーレ外相 オスロ・プロセス 80ヵ国以上が支持 拡大期待』
・毎日新聞 2007年11月1日 『1個当たり 廃棄に最高1100万円 欧州地域会議 コスト減へ協力 STOPクラスター』
・毎日新聞 2007年11月10日 『STOPクラスター 条約制定へ合意困難か 交渉期限設定に異論続出 国際会議』
・毎日新聞 2007年11月14日 『STOPクラスター 規制条約 露「交渉入り時期尚早」 CCW締約国会議 不合意で閉幕へ』
・毎日新聞 2007年11月15日 『STOPクラスター 規制交渉入りに失敗 CCW締約国会議 露、抵抗のまま』
・毎日新聞 2007年11月20日 『クラスター 使用国に除去責任 オスロ・プロセス 条約案に明記』