揺れる政策運営 ‐パウエルFRBとバイデン政権‐ | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

揺れる政策運営 ‐パウエルFRBとバイデン政権‐

米国の消費者物価指数(CPI)が鈍化してきたということだが、8月以降も鈍化傾向の可能性がでてきた。

 

パンデミック起因による人手不足が解消傾向となれば、物価も自ずとその方向に向かう。一時的なインフレ、というのがボトルネックインフレということであれば就業者の増加とともに物価は逆に鈍化傾向となるだろう。供給制約という面を差し引いたとしても、前年同月の数値と照合させれば8月~9月からはノーマルに回帰していくことが考えられる。

 

それが顕著となっているのがECRIから公表されるWLI(週間景気先行指数)で、リーマン後と同じような軌道に入っている事が確認できる。

 

 

 

 

 

マーケットはテーパリングの話題でテンコ盛りだが、過去にこの指数がマイナス圏に入ったときにはQEが繰り返されてきた。2018年10月からの金融政策正常化(バランスシート正常化)の最後のステージであるQT実施(量的引き締め≠量的減速・テーパリング、カラクリ2版p176)に至った際には景気、株式ともに大きく落ち込んだ。

 

今回QTは話題にも上がらず、利上げすら遠い。個人的見解になるが、テーパリングの将来的な実施が仮に秋口などに公表されたとしても、14年のように10ヶ月ではなくそれ以上の緩やかな減速になり、そしてそこから利上げの実施まで、年スパンの期間を要する。テーパーにしても上記、景気指数などが急落すれば過去のQTのように撤回の可能性すら残される。

 

さらに今現在、米議会ではデットシーリングの問題(債務上限問題)が議論されているが、これもマーケットは過去に照らし合わせ軽視しており、現議会の微妙な意思決定の構図を考えれば、バイデン政権の無謀すぎる財政計画はじめとする公約は、妥協を重ねることすら予想される。

上院・下院とも数字で上回るバイデン政権が、強硬姿勢で議会を通過させるのは論理として可能だが、それをやってしまうと中間選挙(22年)を前にして共和党から極左政権と印象付けられることが予想され、内部反発のマグマが膨れ上がってしまう懸念も残されている。

 

そのような微妙なかじ取りが続くバイデン政権だが、つい先日には上記デットシーリング引き上げ問題に関し、共和党上院議員ほぼすべて(46名だとか)から連署をもって強い抵抗にあっており、さらに新型コロナ起源問題についても共和党から強い牽制を受けている。

 

 

 

 

 

この問題はもともと5月26日に、バイデンが「90日以内に武漢起源なのか自然発生なのか報告するよう」指示を出したことから起こったものなのだが、共和党としてはバイデンが親中であることから曖昧決着を案じ、8月24日の期限を前にして(起源は武漢ウイルス研究所といった)報告書を公表したということになる。というか、バイデンの曖昧決着公表を選挙キャンペーンとして、反中感情を高めようと画策していることすら窺える。

 

ファウチからダジャック(NPO法人代表)、そこから武漢ウイルス研究所に資金が流れているのは(以前お伝えしたように)米国も認めており、そこで遺伝子操作が行われていたことを共和党は強い証拠をもって報告書をだした、ということになっている。

 

米国の情報機関が武漢ウイルス研究所の研究記録をハッキングによって入手したということが話題に上がったが(疑惑)、WHOのように正当な要請による調査が通じるはずもなく、共和党としては自信をもっている、とのこと。 

そんな中、話が少々脱線気味になるが今回、中国外交部が墓穴を掘った(ようにみえる)のは、米共和党への反論としてフォートデトリック研究所をもちだし、米国の研究所から流出した、と主張したこと。

 

中国外交部は、武漢でのミリタリーワールドゲームズ(2019年10月に武漢で行われた世界軍事運動会)など挙げているが、簡素にいえば「うちの研究所ではなく米国の研究所から人工的に作り出され、流出した」と反論しており、このことによって、当初中国が主張していた「自然起源」が置き去りにされたことである。

中国は要求された研究記録を頑なに出さないことから自滅に向かっており、中国の言い分は時系列的にすべて狂っている。(スイス人生物学者がデマだったように)

 

とまぁ話がそれてしまったが、 、8月24日に曖昧な報告書をバイデン政権が公表するようだと、反中の世論は再度高まりバイデンに向かう。それを共和党は狙っており、バイデン政権の政策決定にしても強権発動は難しくなる。

 

テーパリングがどうだとかのジャクソンホールよりこちらのほうが基調的に重要だと言いたかったわけだが、 、テーパーは先述のように公表されても撤回の可能性もあり、言ってしまえばジャクソンホールでは「議論が進行している」くらいのもので思い切ったことはいえないと想定、しつこいようだが曖昧公表されても大きな節目にはならない。また更新します。